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副鼻腔炎(蓄膿症)の対策③重曹入りの強化版[鼻うがい]で膿も花粉も洗い流そう

解説 カラダネ編集部

副鼻腔炎(蓄膿症)のセルフケア方法では、鼻うがいを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

「鼻うがい」は、文字どおり、口でする「うがい」のように、水を鼻の中に入れて、ほこりや細菌、ウイルス、花粉などを洗い流す方法のこと。
この鼻うがいは、とてもおすすめな副鼻腔炎対策、花粉症対策の一つです。
とはいえ、正しく行うことがとても大切です。間違った方法で鼻うがいを行っていると、中耳炎などを招く場合もあると、専門医は警鐘を鳴らします。2人の専門医に話を聞きました。

副鼻腔炎の人は、記事を読むとともに必ず耳鼻科医の治療を受けることを忘れないでください。



副鼻腔炎や花粉症だけでなく、上咽頭炎、インフルエンザ予防にも役立つ

早速ですが、鼻うがいを患者さんにすすめている、きたにし耳鼻咽喉科院長の北西剛先生に話を聞きました。

「鼻の病気のときに大切なことは、まずは耳鼻咽喉科で専門医にきちんと診てもらい、適切な対処をすることです。
そのうえで手軽にできて、予防や症状の緩和を期待できるのが、鼻うがいです。鼻うがいをすると、鼻の中の異物を洗い流すことができて鼻をスッキリさせることができます。

私は患者さんの状態に応じてすすめていますが、慢性副鼻腔炎や花粉症などのアレルギー性鼻炎だけでなく、上咽頭炎(じょういんとうえん)や後鼻漏(こうびろう くわしくは『【専門医解説】副鼻腔炎って何?蓄膿症との違いは?好酸球性とは?原因・治し方がわかる鼻診断チャートつき』へ)、インフルエンザの予防に役立つものであると感じています

副鼻腔炎の場合、副鼻腔に細菌やウイルスが入り込むことによって起こります。健康であれば、このような異物は副鼻腔内の繊毛の動きで排出されます。
ところが、カゼや花粉症などなんらかの原因で粘膜が腫れて、入り口が狭くなったり繊毛の働きが弱くなったりすると、菌が増殖して炎症が起こり膿がたまってしまうのです。

最も簡単なセルフケアは、鼻水がたまったらこまめに鼻をかむこと(くわしくは『副鼻腔炎(蓄膿症)の対策②息を出し切るまでゆっくり、がコツ。正しい鼻のかみ方』へ)。
しかし、それだけでは細菌やウイルス、膿などを出しきるのは難しいものです。そこでおすすめしたいのが鼻うがいなのです」

鼻うがいを治療の一環に取り入れている耳鼻咽喉科が多い。やり方も簡単。

北西先生は、さらに鼻うがいについて話を続けます。

「鼻うがいとは、鼻から生理食塩水(血液や組織液と浸透圧が等しい約0.9%の食塩水)を注入して、鼻腔内の鼻水や膿、細菌、花粉などの異物を取り除く方法です。

以前から、耳鼻科では鼻の手術を受けたあとのケアとして、鼻うがいはすすめられてきました。現在では、耳鼻科によっては鼻の病気の予防や治療の一環として取り入れている病院もあるので、受けたことがある人も多いでしょう。
この鼻うがいは、毎日行ったほうがいいことから、自宅でもセルフケアとして取り入れてほしいものです。

鼻うがいのやり方は、下の図を見ていただくとして、ここでは、注意点やポイントを述べておきましょう」

「まず、鼻うがい用の器具は、数種類が市販されています。しかし、近くで入手できない人や、試しにやってみたいという人は、液体容器を使った手作りの鼻うがい器を作ってみるのもいいでしょう。
作り方は簡単で、調理器具の売り場にある液体容器(ドレッシング容器など)にシリコン製のイヤホンパッドをつけるだけです。どちらも100円ショップで購入できます。

副鼻腔炎(蓄膿症)を改善!鼻うがいのやり方①(準備)

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水は、水道水などの真水を使うとツーンと鼻や耳の奥に痛みを感じます。真水はさけて、0.9%の生理食塩水を使いましょう。水はできれば煮沸し、温度は30~35度Cのぬるま湯が適当です。

行うときは、洗面台やお風呂場で顔を前に突き出してあごを引きます。イヤホンパッドを鼻穴に当てて、容器を押して水を鼻腔内に入れてください。
このとき、「あー」と声を出すとやりやすいでしょう。
鼻腔内に入った水は、水を入れた鼻、逆側の鼻、口のうちのどこから出しても大丈夫です。

副鼻腔炎対策の鼻うがいのやり方②(実践)


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注入するときの注意点をあげます。
❶鼻奥まで水を入れようと顔を上に向けると、のどに流れてむせたり、耳に入ったりするので、下を向いた姿勢を保ってください。

❷水は無理に吸い込まずに、容器を手で押して出てくる水の量で十分です。無理に吸い込もうとすると、中耳炎などになる可能性もあり、注意してください。

❸鼻腔内に水があるときに、つばや注入した水を無理に飲み込まないでください。

❹1日に行う回数は1~2回まで。やりすぎは逆効果です。

ぜひ4つに気をつけて日課にしてみてください」(北西先生)
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副鼻腔炎(蓄膿症)や花粉対策の鼻うがいは「あー」と声を出しながら行うのがコツ

生理食塩水の代わりに重曹を使うだけ!働きがアップしネバネバ鼻水もスッキリ!

鼻うがいの強化版があります。考案した、ほりクリニック院長の堀雅明先生に話を聞きました。

「鼻うがいは実に強力ですが、実践してもドロドロとした鼻水や膿がなかなか出てこないという人がいます。また、鼻が痛くなると感じている患者さんもおおぜいいます。

そういった人たちに、ぜひ試してもらいたいのが「重曹入り鼻うがい」です。通常、鼻うがいでは、生理食塩水を使いますが、実はそこに重曹を加えるだけでさらに働きが高まると私は考えています」

働きアップ!副鼻腔炎対策の鼻うがいのやり方③(重曹鼻うがい)

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堀先生は話を続けます。
「副鼻腔炎の人は、ネバネバした鼻水を出す必要がありますが、ネバネバしているので鼻をかんでも出にくく、鼻うがいをしてもスッキリしないことが多いのが難点です。

その状態を改善するために、患者さんによっては、鼻水のネバネバを弱める薬が処方されることもあります。
実は、重曹にはそのネバネバ鼻水の粘性を弱める働きがあるのです。それゆえ、副鼻腔炎の人は生理食塩水による鼻うがいより、重曹を加えた重曹鼻うがいのほうが強力になると考えられます。

重曹鼻うがいの鼻症状に対する作用は、米国の大規模研究でも科学的に明らかになっています。
研究では、抗菌剤を使わず2週間の重曹鼻うがいを行ったところ、鼻づまりによる症状が70%改善し、鼻水や後鼻漏も55~70%で改善したといいます。また、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎が改善している例が多く報告されているのです。

重曹鼻うがいの利点(メリット)は、ほかにもあります。重曹には刺激を抑える緩衝作用があります。そのため、生理食塩水で行うよりも、さらに鼻粘膜への刺激が減り、痛みを感じにくいのです。
とはいえ、毎回鼻に注入する圧力や量には、十分注意して行ってください。強すぎると、耳管(耳と鼻をつなぐ管)から逆流して中耳炎を起こしてしまいます。

また、自己診断せずに必要に応じて耳鼻科を受診し診断、治療、指導を受けてください。
重曹とは、炭酸水素ナトリウム、または重炭酸ソーダといい、人間の体の中にもある物質で血液や唾液の中にも含まれています。

内服薬やベーキングパウダー、入溶剤などに使われており、極めて安全なものです。薬用・食用・工業用とありますが、重曹鼻うがいに使うにはスーパーなどで売っている食用のものが適当です。

なお、重曹鼻うがいは、それによって症状を治すという、治療作用があるものではありません。鼻水や膿を取り去ることで、鼻粘膜が本来持っている自然治癒力などの働きを阻害しているものを排除でき、洗浄機能や免疫作用、加湿作用が高まると考えられます」(堀先生)

健康な鼻の状態を取り戻すためにも、みなさんもセルフケアに重曹鼻うがいを試してはいかがでしょうか。とはいえ、やりすぎは禁物です。心配がある場合は、主治医に必ず相談してから実践してください。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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出典:『副鼻腔炎 アレルギー性鼻炎が一挙に退く 鼻腔スッキリ1分ケア(わかさ夢ムック50)』
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