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自彊術のやり方(31動作)を症状別に厳選!ダイエットや腰痛改善、腎機能アップなど
幸村惠美子
31動作ある自彊術は本来、すべての動作を行うことで全身の関節をくまなく動かせるように組み立てられています。つまり、第1動は第2動のための準備運動で、第2動は第3動の準備運動というように、第31動まで連動しているのです。
そのため、自彊術の中にやりにくい動作があっても、31動作の順序を変えたり抜かしたりせず、すべてを流れに沿って行うのが基本です。また、そうすることでよさを最大限、実感できると考えています。
とはいえ、初めての人がいきなり31動作すべてを行うのは難しいでしょう。慣れないことを行うのは時間がかかるし、めんどうにも感じられて途中で挫折する原因になりかねません。自彊術もほかの健康法と同様、続けることが大切です。
そこでこの記事では、自彊術31動作の中から、悩みの症状に応じたやり方も特別に厳選していただきました。特に今回は、ダイエットにつながる厳選動作を紹介しています。自彊術普及会師範の幸村惠美子(ゆきむら・えみこ)先生に話をお聞きしました。
自彊術の基本の4動作|体調の改善をすぐに実感
自彊術の一番の特徴は、全31動作がそれぞれ独立しているように見えて、実は次の動作に移るための準備運動になっていることです。つまり、第1動から第31動まで連続して行うことに大きな意味があります。
自彊術は、①腹部、②胸部、③頭部(頸部)、④腰部、⑤上肢、⑥下肢の順に動かします。このような流れで各動作を一つひとつ順番に行うことにより、全身が健康な状態に整えられていくのです。
そして今回、症状別に厳選しているやり方においても、次の動作へと続く動きが準備運動となり、体のウォーミングアップにつながっていることを忘れてはいけません。順番どおりに行わない場合は、いきなり力任せに行ったり、弾みをつけて行ったりしないように注意しましょう。
31動作ある自彊術の中で、初心者でも簡単に行えて、体調の改善をすぐに実感しやすい基本4動作を紹介しましょう。
基本の厳選4動作(第1動・第2動・第15動・第16動)のやり方
【自彊術の正しい座り方】
自彊術では、六点端坐の姿勢が理想で、六点端坐とは両足の親指先の2点、両くるぶしの2点、両ひざの2点の6点で上体を支える座り方になります。
【自彊術の呼吸法】
自彊術を行うときは「イチ」のようにかけ声を出す際に口から息を吐きだし、かけ声とかけ声の間に鼻から息を吸い込むように呼吸する。かけ声は、2回め、3回め以降は「ニイ」「サン」と順番に声を出す。
●自彊術の第1動
正座(六点端坐)で、ひじを伸ばして両手の指を組み、下腹を抱える。
①鼻から息を吸いながら、ひじを曲げずに両肩をあげる。
②口から息を吐きながら、両肩をストンと落とす。
③①と②を6〜10回連続で行う。
●自彊術の第2動
正座(六点端坐)で上の写真のように両手の親指を胸に当て、そのほかの4本の指をろっ骨の下に差し込む。
①鼻から息を吸いながら、両肩を上げる。
②口から息を吐きながら、両肩をストンと落とす。ろっ骨の下に差し込んだ4本の指の力を緩めないようにする。
③①と②を6〜10回連続で行う。
●自彊術の第15動
うつぶせ寝の状態から、指先を正面に向けて両手を肩幅に開き、上体を起こす。
①できる範囲で顔が天井と平行になるように、頭を後ろに倒す。
②「イチ」のかけ声とともに、頭をさらに後ろに倒す。
③①と②を6〜10回連続で行う。
●自彊術の第16動
両足のかかとをつけて、爪先を60度に開き、気をつけの姿勢で直立する。
①「イチ」のかけ声とともに、両腕を耳につくくらい真上にまっすぐ振り上げる。
②「ニイ」のかけ声とともに、両腕を振り下ろす。このとき、振り下ろした両腕はできるだけ後ろまで降る。
③①と②を6〜10回連続で行う。
ダイエット自彊術|脂肪燃やしの2動作
正直にいうと、自彊術の31動作をすべて行っても、消費されるカロリーは37キロカロリー程度、レモン1個分のカロリーにすぎないことがわかっています。
しかし、自彊術はふだんあまり使っていない筋肉を活発に動かすため、それらの筋肉の基礎代謝を上げるのに役立つのです。つまり、全身の基礎代謝が底上げされることで、寝ているときも体脂肪が燃えつづけるようになり、ゆっくりではあるものの、着実に体重が減りやすい体質に変わると考えられるのです。
しかも、自彊術の31動作は、どの動作も心臓や関節、血管に大きな負担をかけません。高齢者や体力に自信がない人、関節痛を抱えている人にも実践できる減量法だといえるはずです。
そして、ダイエット自彊術としておすすめするのが、自彊術の第27動、第28動になります。自彊術を5年ほど前から実践してくださっている秋津医院院長の秋津壽男先生は、第27動、第28動のダイエット作用を次のように分析くださいました。
●第27動
おなかの奥にある大腰筋が衰えると、基礎代謝が低下して体脂肪がつきやすくなるほか、骨盤もゆるむので胃や腸などの内臓が垂れ下がり、おなかもポッコリと出てきます。
そこで、相撲の股割りのような第27動を行えば、大腰筋など足腰の筋肉も活発に働き、本来の筋力を取り戻せます。大腰筋が鍛えられると内臓も正しい位置に引き上げられ、おなかも引き締まってくるでしょう。
●第28動
両手を振りながら、上半身を大きくひねる体操です。第28動は起立筋や腹斜筋の強化に役立ち、特に腹部が引き締まりやすく、腸の刺激による便秘の改善も期待できます。
また、全身のバランス感覚や柔軟性を養うのに最適な動作で、高齢者の場合は転倒骨折の予防にもつながります。
ダイエット自彊術厳選2動作(第27動・第28動)のやり方
【自彊術の呼吸法】
自彊術を行うときは「イチ」のようにかけ声を出す際に口から息を吐きだし、かけ声とかけ声の間に鼻から息を吸い込むように呼吸する。かけ声は、2回め、3回め以降は「ニイ」「サン」と順番に声を出す。
●自彊術の第27動
両足を80センチ以上に大きく開く。両手でひざの上部をつかんで腕を伸ばし、ひざが床に対して垂直になるように、腰を落とす。
①「イチ」のかけ声とともに、深く腰を落とす。
②力を抜く。
③①と②を「イチ、ニイ、サン…」のかけ声とともに、6〜10回くり返す。このとき、お尻を大きく上下させない。
●自彊術の第28動
①両足を約10センチ離して立ち、両腕を肩の高さに上げ、上体をそらして左へひねって左手の指先を見る。
②「イチ」のかけ声で弾みをつけて、反身のまま両腕を右に振りきる。次に、「ニイ」のかけ声で左(①の姿勢)に、「サン」のかけ声で右(②の姿勢)に、といった要領でくり返す。
③①と②を「イチ、ニイ、サン…」のかけ声とともに、6〜10回くり返す。
自彊術を行うさい、無理は禁物
人によっては、自彊術を行ったあとに軽い痛みやこりが出る場合もあります。これは、今まで使わなかった関節や筋肉を動かしたことで起こる「いい痛み」なので心配ありません。
つまり、体の各部位に痛みやこりが現れるほど、それまで体を十分に動かしていなかった証拠ともいえるのです。自彊術によって今まで使っていなかった筋肉を動かせば、誰でも数日から1週間くらいは筋肉痛のような違和感が続きます。
しかし、痛みやこりが出ても途中でやめず、動かす範囲を狭めたり、回数を減らしたりして無理のない範囲で取り組んでください。ただし、これまで経験したことのないような激痛やしびれが急に出たときは、重篤な病気が潜んでいる恐れもあるので、いったん自彊術を中止して、早急に病医院を受診する必要があります。
くり返しますが、無理は禁物です。健康維持の一環として自彊術に取り組んでください。
また、ひざ痛で端坐(正座)ができない場合は、イスに腰かけるか、足を投げ出して座ったまま行ってもかまいません。背すじはできるだけ伸ばしましょう。
上半身の姿勢が正されると、下半身にかかる負担が減ってひざ痛も和らぐので、端坐ができるようになる場合が多いようです。
記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。
写真/©自彊術普及会 © Fotolia ©カラダネ
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出典:『医大教授激賞の100年体操 自彊術』(詳細はわかさ出版HPにて)
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