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【東洋医学からみる】慢性腎臓病(CKD)の予防法!クレアチニン値の改善策[足裏もみ・中指回し]

解説 水嶋クリニック院長
水嶋丈雄

東洋医学の利点は、伝統に裏づけられた治療実績もさることながら、セルフケアとして誰でも簡単に実行できることではないでしょうか。特に、全身にある経穴(けいけつ。以下、ツボとする)を手の指で刺激するツボ押しは、鍼や灸を使わなくても手軽に行えるのでおすすめです。

今回は、西洋医学をベースにしながら、鍼灸や気功といった東洋医学を治療に取り入れて腎機能アップのサポートをしている、水嶋クリニック院長の水嶋丈雄先生に話をお聞きしました。

慢性腎臓病(CKD)の疑いがある方は、腎臓内科などで専門医の治療を受けることが何より肝心。そのうえ記事にあるセルフケアも試してみてはいかがでしょうか。



腎機能を改善させるツボは「湧泉」

ツボは、東洋医学で体内の臓器とつながる急所と考えられています。臓器に異常が起こると、その臓器と密接に関係するツボに圧痛(押すと痛むこと)やしこりが出てきます。

ツボに対して、手で押す・さするといった刺激を与えると、気(東洋医学でいう生命エネルギー)・血(血液など)・津液(体内の水液)の流れがよくなります。その結果、臓器の異常が改善され、全身の生体機能が正常に働くようになるのです。

では、腎機能の低下の兆候がどこに現れるのかというと、東洋医学では、足裏の中央付近にある「湧泉(ゆうせん)」というツボに圧痛を伴う硬いしこりが現れるとされます。

湧泉の位置

water-spring.jpg湧泉は、足の少陰腎経(しょういんじんけい)という経脈(体を縦に流れる生命エネルギーや物質の通り道)にある27個のツボのうちの一つです。このツボは、五臓六腑(内臓の総称)の「腎」と深くかかわっています。

腎は、西洋医学でいう腎臓とは少し概念が違っており、一つの臓器というよりも、その臓器に関係する体の機能も表しています。例えば、腎は、水分の代謝(体内で行われる化学反応)をコントロールしているほか、生殖機能や発育・成長を担ったり、肺と共同して呼吸を行ったりする働きがあると考えられているのです。

とはいえ、五臓六腑の腎と西洋医学の腎臓には共通点が多くあります。ですから、湧泉でツボ押しを行い、腎を刺激すれば腎機能低下の予防・改善が期待できるのです。

実際に、腎機能が低下している患者さんの足裏を触診すると、湧泉に硬いしこりが見つかり、指で押圧すると、強い痛みを訴えるケースが少なくありません。そこで、湧泉を丹念に押してもみほぐす「足裏もみ」を続けてもらうと、腎機能が改善してくる患者さんが多いのです。

クレアチニン値の改善例も多い「足裏もみ」のやり方

足裏もみのやり方を説明しましょう。湧泉の場所は、足裏を曲げたとき、足裏にできる「人」の形をしたくぼみの中央部分です。

足裏もみのやり方

foot-fir.jpg床に座り、両手の親指の腹で足裏にある「湧泉」のツボを5分間、軽く押しもみします。両足の足裏で行ってください。1日1回、起床時もしくは就寝前に行うのが理想的です。

押す強さは、強い力ではなく、あくまで心地よさが感じられる程度の軽めの力でもみほぐすことがポイントになります。

足のむくみは腎機能の深刻な低下を示すサイン

実は、湧泉のほかにも、腎機能の低下を示すサインとなる場所があります。それは、足の中指です。足の中指にむくみがあって曲げにくい場合、腎機能が衰えている証拠と考えていいでしょう。

少陰腎経という経脈は、足指の先から始まって足裏の中央部分のツボの湧泉につながり、内側のくるぶしを経て体幹に向かい、「腎」に合流します。
下肢に流れた気・血・津液の流れは、この経路で腎に戻るのです。

しかし、腎機能が低下すると津液(しんえき)の流れが悪くなり、足のむくみが起こりやすくなります。東洋医学では、むくみを水分の代謝(体内で行われる化学反応)の異常による「水毒」(毒は病気の原因の意味)と解釈します。
全身が水毒状態に陥ると、むくみのみならず、高血圧・膀胱炎・下痢・頻尿・尿漏れなど、さまざまな不快症状を招くとされているのです。

foot-edema.jpg先に説明したとおり、足の中指は下肢に滞った気・血・津液の流れを促して、腎の働きを高める重要なポイントです。そこで、足の中指を積極的に刺激すれば、体内の余分な水分がスムーズに排出されて水毒が改善し、腎機能の改善が期待できるわけです。

中指回しは、足のむくみを改善する!?

水毒の改善法としておすすめなのが、「中指回し」になります。やり方はとても簡単なので、今日からすぐに始められます。

中指回しのやり方

middlefinger-turning.jpg床に座り、一方の手の指で足の中指をつまんで、グルグルと回します。右回りに10周、左回りに10周、計20周回して1セットとし、両方の足で行いましょう。
1日に左右の足で各1セット、夕方や就寝前、入浴後のいずれかに行うようにしましょう。

コツとしては、足の中指をできるだけ反らすようにして大きく回すことです。そうすると、少陰腎経の始点である足指の先や足裏中央のツボの湧泉が大いに刺激されて、下肢に滞っていた津液が腎に戻りやすくなります。

【体験談】足裏もみと中指回しを続けたら、クレアチニン値が正常値に

(以下は、2016年に発刊されたわかさ夢MOOK27『腎機能強化大全 医大式足もみ腎トレ』で紹介されたものをウェブ用に再編集したものです)

長野県に住む中川茂雄さん(仮名・55歳)は、45歳を過ぎたころから、健康診断の血糖値が高めなのが気になっていたといいます。

そして2年前の朝のこと、中川さんが目覚めるとまぶたが重く感じられ、鏡を見ると、顔がひどくむくんでいたのです。その後、全身がむくむようになって、体も疲れやすく重く感じられたといいます。

心配した中川さんが、東洋医学を取り入れた治療を行う当クリニックを訪れたのは2015年の4月のこと。 血液検査をしたところクレアチニン値(腎臓の機能の検査値)は1.8mg/dL(男性の基準値は約0.6~1.1mg/dL)を超えていました。
中川さんを悩ませてきたむくみや疲労感は、血糖値の高い状態が続いて腎機能が衰えてしまったことが原因と考えられたのです。

私は、東洋医学では足裏にあるツボの「湧泉」と足の中指が腎臓に深く関係していることを、中川さんに伝えました。そして、湧泉を軽くもんでほぐす「足裏もみ」を毎日5分間、足の中指を左右にぐるぐる回す「中指回し」を毎日20回ほど行うように指導したのです。

さらに、クレアチニン値を下げるために、食事面では塩分とたんぱく質の摂取を控えてもらいました。また、血糖値が上昇して基準値を超えないように、お菓子など甘い物をいっさい断ってもらいました。
すると、足裏もみと中指回しを始めて1カ月が過ぎたころから、中川さんの体調に変化が現れました。以前より疲れにくくなって体が軽くなり、まぶたのむくみも取れてきたのです。

3カ月後には、全身のむくみもすっかり改善し、血液検査でクレアチニン値を調べてみると、1.2mg/dLに下がっていました。中川さんが足裏もみと中指回しを始めて1年以上が過ぎましたが、クレアチニン値は0.8mg/dLに下がり、血糖値も安定しています。

慢性腎臓病の人は、病院での治療を受けつつ、自分でできることとして足裏もみなども試してみてください。

記事にあるセルフケアは安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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