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【動画でわかる!】老眼・スマホ老眼を改善するトレーニングの方法6選

解説 カラダネ編集部

年齢を重ねるとともに悩む人が増えていく「老眼」。そして現代病といっても過言ではない、「スマホ老眼」。
本記事では、眼科医がすすめる目のストレッチなど、専門家が治療に取り入れる、簡単で、改善に期待が持てる、老眼のトレーニング法を紹介します。



老眼の原因とトレーニングの原理とは

老眼と近視は、正反対の現象のようですが、実はどちらも共通した原因があります。目に備わる「ピント調節筋力」の低下です。

目のピント調節を司る毛様体筋

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眼球にはレンズの役割を果たす「水晶体」があり、「毛様体筋」という小さな筋肉がピントを調節しています。近くを見るときは、毛様体筋が収縮して水晶体を分厚くし、遠くを見るときは毛様体筋が弛緩して水晶体が薄くなります。

老眼の衰えは毛様体筋の衰え

毛様体筋は、目の酷使や老化などによって柔軟性が失われて硬直することがあります。すると、レンズの役割を果たす水晶体の厚さをうまく変えられなくなります。これが、老眼の原因です。

老眼トレーニングでは、こり固まった毛様体筋をほぐしたり、鍛えたりすることで目のピント調節機能を改善します

❶遠近ストレッチ

初めは遠近ストレッチ。遠近ストレッチは自分の指と遠くの目標物を交互に見るトレーニングです。とても簡単で、老眼の人におすすめなのでぜひ試してみてください。

遠近ストレッチのやり方

①目の前15センチほどの位置に人差し指を立て、両目で5秒間見つめる

②指先を見つめたまま腕をゆっくり伸ばしていく。腕が伸びきったところで、指先を5秒間見つめる

③視線を指先から部屋の中のカレンダーや時計、または窓の外の山やビルなど遠くの目標物に移し、5秒間見つめる

④①〜③の手順を逆にたどる。腕を伸ばした状態の指先に視線を戻し、5秒間見つめる。さらに、指先を見つめたまま指をゆっくりたたみ、最後は目の前15センチの位置で指先を5秒間見つめる

①〜④を1セットとし、1日5セット程度行ってください。時間帯はいつでもかまいません。目の疲れを感じる場合は無理をせず、初めは少なめのセット数で行いましょう。また、以下の動画で遠近ストレッチをすすめている眼科医の杉本由佳先生がご自身で行っている貴重な動画があります。

老眼の方はぜひご覧ください。


狙う効果は毛様体筋の強化・若返りを促すこと

遠近ストレッチは視線移動をくり返すトレーニングです。目の中でピント調節の役割を果たす「毛様体筋」を動かすことで、柔軟性が保たれます。その結果、老眼や近視の進行を抑えることができるのです。
くわしくは杉本先生が解説されている下記の記事をご覧ください。

❷目のふちなぞり

西葛西・井上眼科病院名誉院長の宮永嘉隆先生は眼科医として50年以上のキャリアを持つ大ベテラン。80歳を超えても老眼知らずで、裸眼で新聞を読むという宮永先生は、「目のふちなぞり」をすすめます。

目のふちなぞりのやり方

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①顔全体をしかめるように両目をギュッと強くつぶり、顔全体の力を抜いて目を開く。目をつぶって開く動作を5秒間ずつくり返す。1分程度行う

②両目を閉じ、上まぶたと下瞼が合わさるところに人差し指の指先をそっと当てて、目頭から目尻に向かって、指先で軽くこするように一方向にマッサージをくり返す。眼球を押さないよう注意し、1分程度行う

③両目を閉じ、まゆ毛の位置の少し飛び出したところ(眼窩上縁)の骨の下を、人差し指と中指の指先で、下方向からやさしく押す。指を目頭側から目尻側にずらしながら1分程度押していく。眼球を押さないよう注意。

①〜③を1セットとして、1日1セット行ってください。入浴中、湯船に浸かりながら行うのがおすすめです。眼球を圧迫しないこと、無理してやりすぎないことに注意してください。

狙う効果は眼輪筋の硬直を解きほぐし疲れ目やドライアイを改善すること

眼輪筋はまぶたの開閉や涙の量の調節を行う筋肉です。目のふちなぞりで眼輪筋をほぐし、涙や目の脂分の分泌を整えることができます。

目のふちなぞりをすれば、疲れ目やドライアイの改善作用が得られるはず。中には老眼が改善したと感じる人がいるかもしれません。
くわしくは下記の記事もご覧ください。

❸全肺深呼吸

目の不調は目の酸欠が原因になっていると、回生眼科院長の山口康三先生は指摘します。酸素の供給が滞ると目がしょぼしょぼしたり、老眼や近視、さらには白内障や緑内障を引き起こすのです。

特にこの記事を読まれている老眼の方、体にたくさんの酸素を取り込む全肺腹式呼吸が山口先生のおすすめです。

全肺深呼吸のやり方

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①1日数回、意識して深い呼吸をするだけ

②そのとき、完全に息を吐ききるよう意識する

狙う作用は全ての肺胞を活発にして目の酸欠を防ぐこと

全肺深呼吸は横隔膜を大きく動かす腹式呼吸です。肺の内部は無数の小さな袋(肺胞)に分かれています。
そして、私たちが息を吸うと肺全体がふくらんですべての肺胞に酸素が取り込まれるため、老眼の方にぜひ実践していただきたいと思います。
通常の呼吸時は、肺胞の7割ほどしか使われていないそうです。くわしくは山口先生が解説されている下記の記事もご覧ください。

❹5ミニッツ老眼鏡

老眼対策に、彩の国大宮メディカルセンター眼科科長の平松類先生は、既製の老眼鏡を使った「5ミニッツ老眼鏡」を推奨しています。100円ショップなどで市販されている安価な老眼鏡でできる老眼トレーニングです。

5ミニッツ老眼鏡のやり方

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①+2度の度数の老眼鏡をかける。ふだん遠視・近視用のメガネやコンタクトレンズを使っている人は、その上から老眼鏡をかける

②部屋の中のカレンダーや時計、または遠くの山やビルなどの目標物を5分間ぼんやり眺める。目標物は最低でも1メートル離れたものを選ぶ。行っている間は、鼻から息を吸って口からゆっくり吐く腹式呼吸で行う

老眼対策に1日1回、夜に行うのが基本です。目のまわりの血流が促される入浴後が特におすすめ。
さらに強化したい人は、朝晩の2回行ってもかまいません。ただし、疲れ目を防ぐため、1回5分の時間は守ってください。白内障や緑内障を患っている人、目の手術歴のある人が行っても特に問題ありません。

狙う作用はあえてピントの合わない状態をつくり毛様体筋をゆるめること

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私たちの目は、無意識にピントを合わせるようにできおり、いい換えれば目の筋肉は常に働いています。

5ミニッツ老眼鏡は、あえてピントの合わない状態をつくり、毛様体筋を休めることが目的です。老眼鏡をかけて遠くを眺めると、ピントが合わせられなくなります。毛様体筋は自然と使われなくなり、緊張がゆるみ硬直がほぐれるそうです。
くわしくは下記の記事もご覧ください

❺背中枕ストレッチ

「悪い姿勢は、老眼をはじめ目の不調を招く重大原因の一つだと考えています」と指摘するのは、姿勢の研究家で国際整体師の清水真先生です。

整体院と鍼灸院を営む清水先生は、ネコ背の人は視力低下や老眼、近視、飛蚊症(虫のような浮遊物が視界にうつる症状)といった目の不調を抱えている場合が多いといいます。そして、多くのケースで、ネコ背を矯正すると目の不調も改善するそうです。

背中ストレッチの前に自分のネコ背タイプをチェック

ネコ背には4種類のタイプがあります。まずは、自分がどのタイプかを知りましょう。

①首ネコ背……頭が前に突き出ているタイプ。首や肩にこりを感じやすい。

②背中ネコ背……肩甲骨の下あたりから背中が丸まっているタイプ。胃が圧迫されやすいため、食欲不振や消化不良を招く。

③腰ネコ背……腰のあたりから背中が丸まっているタイプ。腰痛持ちの人に多い。

④おなかネコ背……これまでのネコ背とは逆で、腰が反りすぎているタイプ。おなかがポッコリと出ている。

目の不調が現れやすいのは、①首ネコ背と②背中ネコ背です。いずれも首に負担がかかって、視神経が圧迫されやすくなります。自分がどのタイプのネコ背かを見分けるには、下の図を参考にしてください。
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背中枕ストレッチのやり方

①バスタオルを丸めて背中枕をつくる
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②自分のネコ背のタイプに合わせてストレッチを行う
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狙う作用は姿勢を正して視神経の圧迫を解消すること

老眼をはじめ目の不調は、頸椎(背骨の首の部分)の1番、2番がずれることが原因の一つだと、清水先生は指摘します。
頸椎の1番と2番は上部頸椎ともいい、頭の後ろ側の「ぼんのくぼ」と呼ばれる位置にあります。

すぐ近くに視神経が通っています。上部頸椎がずれると視神経が圧迫されて目の不調につながるのです。背中枕ストレッチでネコ背を改善することで、視神経の圧迫がなくなって目の働きが戻り、老眼対策に役立つはずです。
くわしくは下記の記事もご覧ください。

❻ピンホールメガネとダイヤ体操

シンプルながら、古くから視力改善アイテムとして知られるピンホールメガネ。その作用と、ピンホールメガネ活用の老眼トレーニングを、ほんべ眼科院長の本部千博先生に聞きました。
なお、ピンホールメガネは簡単に自作できます。本部院長の監修のもと、カラダネが制作した型紙を活用してください。

ピンホールメガネの作用

「ピンホール」とは針穴のこと。黒いボディに十字形に小さな穴が空いています。
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目に入る光が針穴で集約するので、目のピントが合いやすくなります。次のような作用があります。

①レンズなしで遠近にピントが合う
近視や老眼・遠視など目の屈折異常がある人でも、遠くと近くをハッキリ見られることが、ピンホール現象の最大の機能といえるでしょう。

②老眼の予防・改善に役立つ
着用しながら視覚筋をほぐす目のトレーニング「ダイヤ体操」を行うと、老眼の予防・改善が期待できます。

③視覚筋が休まり目がリラックス
ピンホールを通して物を見ると、ピントを合わせる毛様体筋などの視覚筋が水晶体の厚みを大きく変えることなく見えるようになります。

そのため、目を凝らさなくても遠くも近くもよく見えるようになる人がたくさんいます。すると、疲れた目の視覚筋を休めてリラックスさせることができます。

ピンホールメガネを使ったダイヤ体操のやり方

ピンホールメガネは、着けているだけで老眼トレーニングの働きがありますが、ダイヤ体操を行えばさらなる老眼トレーニング作用を期待できます。
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なお、ピンホールメガネは視野が極端に狭くなります。自動車の運転時や歩行中、調理中などは絶対に使用しないでください。くわしくは下記の記事をご覧ください。

最近では、老眼は白内障の始まりともいわれます。スマホの画面が見にくくなった、新聞や本の活字が読みにくくなったという方は、そのまま進行するのを黙ってみているだけでなく、まだまだやれることがたくさんあります。
視力低下には重病も隠れている可能性がありますので、まずは眼科医に診てもらってください。そのうえで、老眼鏡も活用しながらでかまいませんので、ぜひこの記事を参考に老眼の対策に努めてみてはいかがですか?

記事にあるセルフケアは安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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