糖尿病腎症の予防におすすめの食事「茹で蒸し野菜」のレシピ7選|カラダネ

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糖尿病腎症の予防におすすめの食事「茹で蒸し野菜」のレシピ7選

解説 AGE牧田クリニック院長
牧田善二

糖尿病腎症を防ぐには、血糖値を低く抑えることに加えて、❶血糖スパイクを引き起こさない、❷AGEを減らすことも大切です。実は、これらすべてを一挙に補えるのが、「食前の茹で蒸し野菜」になります。

AGE牧田クリニック院長の牧田善二先生に話をお聞きしました。

糖尿病腎症の方は、専門医で診てもらうことが大切です。専門医から食事の指導があるかと思いますが、その指導を守りつつ記事も参考にしてみてください。

血糖スパイクもAGE増加も防ぐ「食前の茹で蒸し野菜」

血糖スパイク対策として食前に野菜を食べる「ベジタブルファースト」、AGE対策として「低温加熱料理」をそれぞれ紹介しました。

その両方の対策を一挙にできるのが、食前の茹で蒸し野菜です。AGEの増加を防ぐなら、茹で蒸し野菜ではなく、生野菜でもいいのではないかと思う人がいるかもしれません。しかし、野菜を茹でたり蒸したりすることには、AGEの増加を抑える以外にも利点があるのです。それについて、くわしく紹介します。

【茹で蒸し野菜の利点❶】腎臓に負担をかけるカリウムを減らす

茹で蒸し野菜は、腎臓に負担をかけるカリウムの量を減らします。

腎臓病のステージが4期以降の人は、カリウム制限が必要になることをみなさんもよくご存じでしょう。カリウムは水に溶ける性質があるので、水にさらす、茹でこぼす、蒸して水分を流れ出させるなどの調理の工夫をすることで、大幅に減らすことができるのです

カリウムは茹でると減少(食品100グラム当たりのカリウム量)
・カリフラワー:(生)410ミリグラム→(茹で)220ミリグラム
・ブロッコリー:(生)360ミリグラム→(茹で)180ミリグラム
・キャベツ:(生)200ミリグラム→(茹で)92ミリグラム
・白菜:(生)220ミリグラム→(茹で)160ミリグラム
・大根:(生)230ミリグラム→(茹で)210ミリグラム
・小松菜:(生)500ミリグラム→(茹で)140ミリグラム

【茹で蒸し野菜の利点❷】野菜の摂取量を無理なく増やせる

茹でたり蒸したりすれば、野菜のカサを減らせます。1日当たりの野菜摂取量は350グラム以上が理想的です。それを3食に分けるといっても、かなりの量になります。

野菜をとるとき、生野菜のサラダが頭に浮かぶ人は多いでしょうが、生野菜ではカサがあるので、たくさん取ることは難しいものです。ある食品会社の調査で、生野菜を週3日以上とっている人の約7割は、1日の野菜摂取量が350グラム以上を満たせていないという報告があるほどです。

一方、ゆでたり蒸したりした野菜はカサが減り、たくさんの量を食べるのがらくになります。食事療法を成功させるカギはなんといっても継続性ですが、その助けとなるはずです。また、加熱した野菜は生野菜に比べ、消化吸収時の胃腸の負担を軽くする利点もあります。

【茹で蒸し野菜活用】腎臓を強める1週間レシピ

今回、紹介するレシピは、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、小松菜、大根、白菜などアブラナ科の野菜を使ったものばかりです。アブラナ科の野菜は腎臓に直接的に働きかけるわけではありませんが、血液を浄化し、動脈硬化を防ぐことで腎臓を助けてくれます。

具体的に、アブラナ科の野菜には、イソチオシアネートという特有の辛み成分による血栓防止作用が確認されているのです。また、色素成分のβ-カロテンには強力な抗酸化作用があり、体内の活性酸素(攻撃力の強い酸素)を除去することで血液を浄化し、動脈硬化などを防ぐのに役立ちます。そのほか、食物繊維やビタミン類も豊富です。

レシピは全部で7品。1週間、飽きずに毎日日替わりで茹で蒸し野菜を食べられるようになっています。たんぱく質が比較的少ないバラ肉やDHA・EPAを含む青魚などと合わせて蒸すことで野菜にうまみが染み込んで、調味料を使わずともおいしくいただけて、減塩にも役立ちます。ぜひ試してみてください。

1st Day|キャベツと豚バラ肉のレモン蒸し

s_レモンとキャベツ.jpg●材料(2人分)
キャベツ…160グラム、豚バラ肉…40グラム、レモン1/2個

●作り方
❶レモンを3ミリ幅の輪切りにしてから4等分する。
❷キャベツと豚バラ肉をそれぞれひと口大に切ったら、沸騰した湯で1分ほど茹でる(カリウムや脂肪を落とすため)。
❸①と②を耐熱容器に入れたら、ラップをして電子レンジで2分加熱する。
※豚バラ肉は比較的たんぱく質が少なく、茹でることで脂肪を減らして食べられます。

2nd Day|無塩ブリ大根

s_無塩ブリ大根.jpg●材料(2人分)
大根…100グラム、ブリの切り身…1切れ、酒…小さじ1/2

●作り方
❶ブリを3ミリ厚に切る。大根を3ミリ厚の半月状に切ったら、沸騰した湯で1分ほど茹でる。
❷大根とブリを耐熱容器に交互に並べたら酒を振り、ラップをして600ワットの電子レンジで3分加熱する。
※ブリのうまみで塩分を使わずとも美味しくいただけます。血液の浄化に役立つDHAとEPAも備えています。

3rd Day|小松菜と鶏ひき肉の重ね蒸し

s_小松菜と鶏肉.jpg●材料(2人分)
小松菜…1/2把、鶏ひき肉…80グラム

●作り方
❶小松菜をひと口大に切ったら、沸騰した湯で分茹でる。
❷耐熱容器に鶏ひき肉の半量を敷いたら①の小松菜の半量をのせ、さらにその上から残りの鶏ひき肉をのせる。
❸②の上に残りの小松菜ものせたら、ラップをして600ワットの電子レンジで分加熱する。
※鶏ひき肉は鶏肉の中でも比較的たんぱく質が少ないです。小松菜に鶏のうまみが染みるので、調味料いらずで美味しく減塩できます。

4th Day|カリフラワーとリンゴのさっぱり蒸し

s_カリフラワーとリンゴ.jpg●材料(2人分)
カリフラワー…200グラム、リンゴ…1/2個、レモン汁…大さじ1

●作り方
❶カリフラワーを手で小房に分けたら沸騰した湯で1分茹でる。
❷リンゴはイチョウ切りにする。
❸①と②を耐熱容器に入れたらレモン汁をかけて、ラップをしてから600ワットの電子レンジで3分加熱する。
※リンゴは低カリウムなだけでなく、余分なナトリウムの排出を促したり、脂肪の吸収を抑えたりするのに役立つ栄養「ペクチン」が豊富にふくまれています。

5th Day|蒸し白菜のかつおだし風味

s_白菜 カツオ.jpg●材料(2人分)
白菜…200グラム、かつお節…10グラム

●作り方
❶白菜を食べやすい大きさに切ったら、沸騰した湯で1分茹でる。
❷①にかつお節をまぶして耐熱容器に入れたら、ラップをして600ワットの電子レンジで3分加熱する。
※昆布だしやいりこだしに比べて、カリウムが少ないかつおだしの風味で減塩しつつ、美味しくいただけます。

6th Day|蒸し玉ねぎガーリック風味

s_tamanegi.jpg●材料(2人分)
玉ねぎ…1個、ニンニク…2片、酒…小さじ1

●作り方
❶玉ねぎは食べやすい大きさで厚めにスライスし、ニンニクは繊維を断ち切るようにスライスする。どちらも沸騰した湯で1分茹でる。
❷①の玉ねぎとニンニクを耐熱容器に入れたら酒を振り、ラップをして600ワットの電子レンで1分加熱する。
※抗酸化力のある玉ねぎとニンニクには、悪玉コレステロールの酸化を防いで動脈硬化を予防する期待が持てます。

7th Day|ブロッコリーとツナのあっさり蒸し

s_ブロコッリーとツナ.jpg●材料(2人分)
ブロ ッコリー…160グラム、ツナ缶…1/2缶、酒…小さじ1

●作り方
❶ひと口大に切ったらブロッコリーを沸騰した湯で1分茹でる。
❷①とツナを耐熱容器に入れて酒を振ったら、ラップをして600ワットの電子レンジで3分加熱する。
※ツナは不足しがちなカロリーを補えるうえに、DHA・EPAが血液をサラサラにするのに役立ってくれます。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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