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慢性腎臓病とうなぎ|塩分・カリウムなど腎臓を傷める栄養が総じて多く危険

解説 横浜創英短期大学名誉教授
則岡孝子

2017年に某企業が行った「疲労回復」をテーマにしたインターネット調査(全国の20歳以上の男女679人対象)で、「あなたの疲労回復食」のアンケートが実施されました。「うなぎ・豚肉などのビタミンB1を多く含む食品」は男性の第5位、女性の第3位に選ばれています。

そもそも、土用の丑の日には元気をつけるために「うなぎ」を食べるなど、うなぎに対して疲労回復のイメージを持つ人は多いはずです。このように栄養満点の「うなぎ」ですが、慢性腎臓病(CKD)の人にとってはいかがでしょうか?

うなぎと慢性腎臓病の関係について、横浜創英短期大学名誉教授の則岡孝子先生にくわしくご解説いただきます。

慢性腎臓病の疑いがある方は、腎臓内科、内科、泌尿器科などで診てもらうことが大切です。専門医からの食事の指導に加えて、記事も参考にしてみてください。

うなぎはビタミン類・DHA・EPAが豊富に含まれる

うなぎは、非常に多くの栄養素が含まれる万能食品です。ビタミンA、ビタミンB1・B2、ビタミンEをはじめ、DHA・EPA、ミネラルなど体にとって大切な成分がたくさん含まれています。

例えば、ビタミンA(レチノール)は可食部100グラム当たりに、1500マイクログラムも含まれており、魚介類の中ではトップクラスの含有量になります。また、DHAは青魚(サンマやサバ)に多いイメージだと思いますが、実はうなぎにもサンマやサバと匹敵するほどの量が含まれています。

s_Fotolia_154650611_Subscription_Monthly_M.jpgつまり、健常な人がうなぎを食べると疲労改善に役立つのはもちろんですが、大切な栄養素もバランスよくとることができるわけです。

腎臓病の人はNG!栄養満点のうなぎの悲劇

慢性腎臓病の人は、ステージや医師の診断によりさまざまな食事制限が課せられますが、初期の人でも控えなければならないのが、塩分です。
うなぎの特に蒲焼には、可食部100グラム当たり510ミリグラムものナトリウム量が含まれています。これを塩分相当量に換算すると、約1.3グラムになります。慢性腎臓病の人は、塩分1日6グラム未満が基本になりますので、かなりきつい数字になります。

慢性腎臓病のステージ3を超えると、中にはカリウムの摂取制限やたんぱく質の摂取制限をしなければならない人も出てきます。うなぎの場合、高栄養が仇になり、カリウムやたんぱく質も多く含まれます。

うなぎの蒲焼には、可食部100グラム当たり300ミリグラムのカリウム、23グラムのたんぱく質が含まれています。カリウムはステージによりますが、2000ミリグラムを超えるのはよくないとされ、たんぱく質も同様にステージによりますが、おおよそ体重1キロ当たり0.8〜1グラムの摂取量が目安になるというのが専門家の意見です。
うなぎの蒲焼に含まれるカリウム・たんぱく質の量がいかに多いのか、よくわかっていただけたと思います。

もちろん、うなぎを絶対に食べてはいけないというわけではありません。うなぎの蒲焼の1/4切れをお昼に贅沢して食べるという日があることも、食事療法を長く続ける秘訣になるかもしれません。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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