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高血圧を下げる食事⑤塩出し栄養が多い野菜を最初に食べる【サキベジ】。医師の私も高血圧が改善
内場廉
食事のさい、ご飯と味噌汁とおかずを順序よく食べるように指導された人も多いでしょう。いわゆる「三角食べ」です。
もちろん、この食べ方は間違いではないのですが、高血圧・糖尿病といった生活習慣病や肥満の改善のために医師の内場先生がすすめている食べ方はこれとは異なります。
内場先生がすすめているのは「サキベジ」。
いったい、どんな食べ方でしょう。
サキベジのやり方。高血圧対策に断然おすすめ。
サキベジは、「先(サキ)に野菜(ベジタブル)をたくさん食べる食事法」のこと。具体的なやり方をまず紹介します。
生よりも加熱した方が量が食べられるのでおすすめ。薄味のほうが野菜は食べやすいはず。食べる野菜の量は1日1キロを目標。
②10分以上たったら、おかずや主食を食べる。
食べる量が自然と減るはず。
以上です。簡単でしょう?自宅ではもちろん、外食でも簡単にできる食事法のはずです。
もともとこの食事法は、私自身が実践し作用を実感したもの。
私は30歳のときに糖尿病と診断され、体重も140キロ以上あったことから、自分自身の食生活を変えることで「やせて健康に近づこう」と考えたのがきっかけです。
当時、いろいろ調べた結果、行き着いたのがこの食事法でした。
サキベジは、糖尿病だけでなく高血圧の人に大変おすすめです。理由は大きく3つあります。以下で解説しましょう。
おすすめの理由①塩出し栄養がたくさんとれる
理由の第一は、野菜にたっぷり含まれる「塩出し栄養」がたくさんとれるため。
野菜には、カリウムやカルシウム、マグネシウム、食物繊維といった塩出し栄養とも呼ぶべき素晴らしい栄養がたっぷり含まれています。
なぜ塩出し栄養と呼ぶかというと、体内の余分な塩分の排出を促す可能性があるため。高血圧の人は食事でいくら減塩しても、体内に余分な塩分があると血圧が上がりやすくなるのです。
特にカリウムは、塩分と水分を結合させる働きが強いため余分な塩分を尿と一緒に排出しやすくします。
こうした塩出し栄養をとることは、米国では高血圧を下げる食事法「新DASH食(ダッシュ食)」としてすすめられています。
理由②糖分や脂肪分の吸収が抑えられる
最初に野菜を食べると、野菜の食物繊維がその後に食べるおかずやご飯の糖分、脂肪分の腸からの吸収を抑えてくれます。
糖分や脂肪分の吸収が抑えられれば、血糖値や血中コレステロール値も安定します。さらに、体重も減って高血圧を下げる作用が期待できるというわけです。
とはいえ私は、最近の「健康のためには糖質制限すべき」という風潮には賛成できません。なぜなら、日本人は糖質をうまく利用して進化してきた民族だからです。
糖質制限は、インスリン分泌能力が著しく低下しているなど、限られた状況の人が限られた期間内だけ実施する食事法といえます。
理由③食べ過ぎが防げる
第三の理由は、サキベジは最初に野菜を食べるために、野菜はたくさん食べられる反面、そのほかのおかずや主食は量が減ります。
食べる量そのものが減ると、太り過ぎの人はやせてきます。また、ご飯など糖質をとる減るため血糖値も減らせるし血管が傷つくのも防げるので、結果的に高血圧を下げるのに役立ちます。
実際に、高血圧を下げる食事として「減糖質」がすすめられつつあります。前に述べた、米国の新DASH食も減糖質をすすめるようになっています。
とはいえ、このサキベジは糖質制限が目的ではありません。結果的に「緩やかな糖質制限になる」ことをご理解ください。
サキベジの作用まとめ
サキベジは私自身の健康管理のために始めた食事法ですが、自分自身の糖尿病が改善し体重も減って高血圧も正常域になったことから、患者さんにもすすめはじめました。
実際にサキベジを実践した患者さんは、高血圧や糖尿病が改善し、薬の量が減らせた人、飲まなくても大丈夫になった人などがおおぜいいます。
現在、私は一般社団法人の「サキベジ推進協議会」を立ち上げ、この食事法を実践することで一人でも多くの人が高血圧や糖尿病などを改善してほしいと願っています。この記事を読んでいる高血圧の方にはぜひおすすめです。
高血圧の方は、主治医の治療方針を守りつつ、サキベジを実践してみてください。
記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。
写真/©カラダネ
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