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高血圧を下げる食事②出汁(だし)は手作り昆布ジュレを。血圧が55mmHg下がり30キロ減

解説 カラダネ編集部

高血圧の人は出汁(だし)が大切なこと、ご存じですか?最初に「よくある話」をします。


高血圧を下げる食事には減塩が欠かせません。とはいえ、減塩すると薄味でおいしくないと感じる人もいることから、出汁(だし)をしっかり取ることが重要です。
出汁がしっかり効いていると味に深みが出ておいしくなり、使う食塩量が減らせるからです。


……よくある話、ここまで。

この記事ではもう一歩踏み込んで、「出汁をどう取るのがベストか」を紹介します。結論をいうと「昆布ジュレ」という手作り出汁を作ってみませんか?
この出汁、すごくおいしいのはもちろん高血圧を下げる食事として役立つからです。
いったい、どんな出汁でしょうか。

高血圧を下げる食事は昆布出汁がおすすめ

高血圧を下げる食事として、出汁の重要性が指摘されています。
出汁をしっかり取ると、グルタミン酸やイノシン酸といった旨味成分のおかげで塩気が少なくてもおいしく食べられるからです。つまり、減塩になります。

では、高血圧を下げる食事にふさわしい出汁は何から取るのがいいか……早稲田大学大学院教授の矢澤一良先生は次のように話します。
「出汁にふさわしい食材はいろいろあります。中でも高血圧を下げる出汁として、昆布出汁がおすすめです。なぜなら、昆布に含まれるアルギン酸やフコイダンなどの水溶性食物繊維が血圧を下げるのに役立つ成分だからです」

アルギン酸とフコイダンの働き

食物繊維には、水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維があります。昆布にはその両方が含まれており、アルギン酸やフコイダンは水溶性食物繊維の一種です。

矢澤先生は話を続けます。
「昆布を水に浸けると、昆布の断面からトロリとしたネバネバ成分が溶け出すのがわかります。これが水溶性食物繊維です。
少しくわしくいうと、アルギン酸は、血圧を上げるナトリウム(塩分)を排出してくれる働きがあるとされます。フコイダンは、余分な脂質を腸で吸収される前に絡めとり、体外に排出し、動脈硬化を防ぐ働きが期待できます。
動脈硬化が防げれば、高血圧の対策に役立ちます」

昆布にはミネラルも豊富
昆布には、カリウムやマグネシウム、カルシウムなどのミネラルも豊富です。これらのミネラルは、体内の余分な塩分の排出を促すとされ、高血圧を下げるのに役立ちます。
昆布出汁は、こうしたミネラルもとれる点から、高血圧の人にオススメです。

昆布出汁の傑作、それが「昆布ジュレ」

さて、高血圧を下げたい人に絶好の昆布出汁ですが、実は昆布出汁のよさをさらに引き出す「昆布ジュレ」という手作り出汁があるのをご存じでしょうか。
これは、大阪の昆布屋の主人が考案した昆布出汁の傑作です。

天満大阪昆布の喜多條清光(きたじょう きよみつ)さんがその人です。
「私は、20歳で父親の昆布屋に入ってからというもの、昆布のよさを知ってもらいたい!昆布をもっと使ってもらいたい!そんな思いで仕事をしてきました。
昆布出汁は日本では昔から使われていますが、出汁を取るのが少しめんどうです。そこで、細切りにした昆布を水に浸けて、ゼラチンで冷やし固める昆布ジュレを思いついたのです」

昆布ジュレの作り方

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完成した昆布ジュレ。作り方は下記を参照
まずは、昆布水を作ります。喜多條さんがすすめるのは、細切り昆布で作るやり方。細切りだと水に溶け出すのが早く、通常よりも昆布水が早く作れます。
●材料
昆布10グラム、水1リットル、
●作り方
①昆布を1〜2ミリの幅に細く切る。
②昆布をポットに入れて水を注ぎ、3時間〜一晩、冷蔵庫で冷やせば完成。

この昆布水をもとに昆布ジュレを作ります。
●材料
昆布水250ミリリットル、粉ゼラチン5グラム
●作り方
①耐熱容器に入れた昆布水50ミリリットルに粉ゼラチンを振り入れて、電子レンジ(600ワット)で約20〜30秒加熱して取り出し、よく混ぜてゼラチンを溶かす。
②残りの昆布水を①に入れてよく混ぜて、粗熱が取れたら冷蔵庫で固める。固まったら出来上がり。

いかがでしょうか。料理経験がない男性にも作れるほど簡単なのが、昆布ジュレのいいところです。

昆布ジュレが優れている3つの理由

昆布ジュレのメリットは3つあると、喜多條さんは説明しています。

❶昆布の旨味成分がたっぷり溶け出ていること
昆布ジュレは、細切り昆布を使います。この場合、切らずにそのまま水に浸けた場合よりも旨味成分が37%も多く溶け出ると試験でわかっているそうです。

❷保存性がいいこと
通常、煮出して取る昆布出汁は、冷蔵庫で保存しても1日で使い切るのが基本です。ところが昆布ジュレの場合は、冷蔵庫なら1週間程度は保存できるといいます。

❸あらゆる料理に合うこと
和食だけでなく、フレンチやイタリアン、中華など世界の料理に使えるといいます。喜多條さんは、昆布屋をしながらフランス料理を習得したり、フグ調理の免許を取ったりといったことを経験しているそうです。
食に対する知識と経験をもとに、昆布出汁を和食だけでなくて、あらゆる料理にいかに合うように昇華させるか……そんな考えから昆布ジュレを思いついたのです。

昆布ジュレの使い方

喜多條さんがすすめる昆布ジュレの使い方、それは「水の代わりに使う」こと。
例えば、レシピに水500ミリリットルとあればその代わりに昆布ジュレ500ミリリットルを使います。

また、サラダでドレッシングの代わりにもかけるといいそうです。ドレッシングは、塩分が多く含まれているものが多いので、減塩になります。また、サラダがとにかくおいしくなります。
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昆布ジュレはサラダにそのままかけても美味しい
さらに、肉料理のソースなどにもおすすめとのことでした。

昆布屋主人は高血圧が改善し30キロやせた

s_Hypertension10.jpg昆布ジュレで高血圧がどのように下がるのか……
これは喜多條さん(写真)の体験でわかります。

「私は、40代前半のときに体重が30キロ太りました。そして、55歳で最大血圧が166mmHg(基準値は130mmHg未満)、最小血圧が110mmHg(基準値は85mmHg未満)とされ高血圧と診断されたのです。
心電図にも異常が見られ、心筋梗塞で倒れても不思議ではない状況と医師から指摘されました。

そんな私が自分自身が昆布をもっと使って健康にいいことを証明しなければと考え、毎日使い出したのが昆布ジュレ(昆布水)でした」

喜多條さんは、それから昆布ジュレ(昆布水)を使ったところ、血圧が下がり出し体重も減り出したそうです。
最近の血圧は、最大血圧が110mmHgになり、なんと55mmHgも下がって安定したそうです。もちろん、最小血圧も基準値内で安定し、体重は30キロやせて40代のころに戻ったとか。

高血圧を下げる食事として、昆布ジュレがいかに優れているかおわかりいただけたと思います。
もちろん、昆布ジュレは薬ではありません。
高血圧は、病院での治療が不可欠です。主治医の治療方針に従い、そのうえで毎日の食事の中で昆布ジュレを試していただきたいと思います。

記事にあるセルフケアは安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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