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【医師活用】逆流性食道炎の症状セルフ診断表|中高年男性や肥満者、高齢女性は要注意
胸焼けや呑酸(すっぱい胃液がのどまで上がってくる感覚)、吐き気、のどのつかえなど、胃酸の逆流で起こる病気の症状に悩む人が、最近急増しています。
胃酸の逆流で起こる病気は、実は胃食道逆流症(いしょくどう ぎゃくりゅうしょう)といいます。とはいえ、一般の人には逆流性食道炎(ぎゃくりゅうせい しょくどうえん)といったほうがピンとくるのではないでしょうか。後述しますが、逆流性食道炎は胃食道逆流症の一種です。
症状がある人は、まずは消化器内科を受診してください。この記事では、逆流性食道炎かどうかを見極めるために医師も使う診断表を掲載します。
発売中の健康情報誌『夢21』2017年12月号(2017年11月2日発売号)は、逆流性食道炎の大特集号です。自力改善法や病院の最新療法なども専門医によってくわしく解説されています。
ぜひ、ご覧ください。
逆流性食道炎が起こるしくみ。国民の3人に1人がかかる?
逆流性食道炎は胃食道逆流症の一種です。
食道の粘膜にびらん(ただれ)ができたものを逆流性食道炎(びらん性胃食道逆流症)と呼び、びらんが確認できないものは、非びらん性胃食道逆流症と呼ばれます。
『夢21』の中では医師が次のように指摘しています。
逆流性食道炎→中高年男性、太りぎみの人、高齢の女性。特に高齢女性は筋力の衰えや背骨の変形によるネコ背姿勢が影響している可能性があるそうです。
非びらん性胃食道逆流症→若い人や女性、やせている人。さらに、ストレスも関係するため几帳面でまじめな人に多いといいます。
逆流性食道炎がなぜ起こるのかは、食道と胃の関係を知ると簡単にわかります。まず食道と胃の間には噴門(食道胃接合部)と呼ばれる開閉部があります。
いわば、胃の玄関にある扉のようなものです。
食事で食べたものは、食道を通過し胃へ運ばれますが、胃の内容物が逆流しないのは、噴門にある筋肉(下部食道括約筋)や横隔膜が、扉に当たる噴門の開け閉めをコントロールしているからです。
ところが、噴門の開閉を担う筋肉が衰えるなどすると、扉の開閉をコントロールできなくなって、胃液などが逆流します。
胃液に含まれる胃酸は、食べ物を溶かすほど強烈な酸です。食道には胃の粘膜のように酸を防ぐ働きがないため、胃酸にさらされると、びらんができたり炎症が起きたりして症状が現れるのです。
これが、逆流性食道炎が起こるしくみです。
最近では、10~30%近くの人が胃食道逆流症とする報告もあるそうですが、症状が軽い人は気づいていない場合が多いとか。
胃食道逆流症の患者数は、日本人には少ないとされてきましたが最近は急増しつつあり、今や3人に1人がかかる国民病といえる状態になっています。上のグラフを解説すると、逆流性食道炎の発症率は1980年代の2.0%から2000年代には14.3%まで増加。中には20%を越えるという報告もある。 胃食道逆流症の発症率はさらに高く、健診センターに健診を受けに来た一般人659名を対象に行った調査(2005~2006年)では、31.9%の人(約3人に1人)が胃食道逆流症や逆流性食道炎だった。
逆流性食道炎かどうかわかるセルフ診断表
胸やけや呑酸があってもすべてが逆流性食道炎などの胃食道逆流症というわけではありません。そこで、症状のある人が、逆流性食道炎を見分けるために役立つセルフ診断表を紹介します。
正確には「Fスケール問診票(逆流性食道炎チェックシート)」といいます。
【やり方】以下にあげる症状がありますか?ありましたら、その程度を右の5色の記入欄の数字(スケール)に○をつけてお答えください。
この表は健康情報誌『夢21』2017年12月号に掲載されているものです。表はあくまでも目安ですので、医師の診断を受けることは忘れないでください。
【逆流性食道炎】症状まとめ解説
逆流性食道炎などの胃食道逆流症の症状の主なものをまとめてみました。
胸やけ・呑酸・ゲップ・吐き気・胃もたれ
胸やけは「胸が下から上に向かって熱くなり、焼けるような感覚」のこと。焼けるような痛みや違和感、不快感を生じる症状です。中には「胸が締めつけられる」「胸が痛い」「胸が苦しい」という表現をする人もいます。
のどの違和感・のどのつかえ感・長引くせき
横になると、胃液が上に流れてのどに刺激を与えたり、炎症を起こしたりすることがよくあります。食道の最も口に近い部分には咽頭(いんとう)や喉頭(こうとう)がありますが、この部分に胃酸がふれると傷や炎症を起こして、のどの違和感やつかえ感、慢性的なせき、声のかすれなどの症状が現れます。
ただし、このような症状は胃食道逆流症だけでなく、咽頭がんや気管支炎、肺炎などほかの病気でも見られることを知っておいてください。
胸のつかえ感
食べ物を飲み込んだあとで胸のあたりにつかえてしまい、なかなか胃に進まない症状(嚥下障害)で悩む患者さんもいます。
こうした症状は、食道がんやアカラシア(食道が機能異常を起こす病気)といった病気でも見られるので、内視鏡検査を受けてください。
上腹部痛・胸痛
胃と食道のつなぎ目にある噴門部分は、上腹部(みぞおち)のあたりに位置します。そのため、逆流性食道炎でこの部分に炎症が起こっている場合は、上腹部に痛みが現れることがあります。
また、胃食道逆流症の患者さんの中には、胸痛を訴える人もいます。
狭心症などの心臓病を疑って循環器科を受診する人もいるようです。日本心臓学会の情報によると、心臓が原因ではない胸痛(NCCP)の原因で最も多いのは胃食道逆流症で、欧米では、NCCPの約4割が胃食道逆流症だったという報告もあるそうです。
不眠・うつ
夜寝ているときの胃液逆流が原因で何度も目が覚め、不眠で悩む人がたくさんいます。また、夜の眠りが浅いため、昼間に強い眠気に襲われる人も多いようです。
うつ病の患者さんでも胸やけ症状を訴える人がいます。内視鏡検査では食道に異常がないため、非びらん性食道逆流症を疑って投薬治療を行ったものの、いっこうに効果がなく、抗うつ薬による治療で元気になったという例もあるようです。
以上です。ぜひ、症状に悩んでいる人は参考にしてみてください。
記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。
写真/© Fotolia ©カラダネ
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出典:『夢21』12月号(詳細はわかさ出版ホームページにて)
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