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【尿路結石の予防】は食事で!結石の再発を防ぐのに役立つ医師推奨「ゆで料理」
横山博美
尿路結石は男性に多い病気です。基本的には夏に多いものの、冬に起こらないわけではありません。特に今現在、尿管や膀胱、尿道に結石があるという人はぜひ対策してください。
とにかく、体内で石を大きくしないことが激痛を再発させないためには必須。それには、食事が重要と泌尿器科の専門医、横山博美先生は話します。
尿路結石を予防する食事について解説をいただきました。
尿路結石とはなにか?石はなぜできるのか?
尿路結石とは、尿管結石や膀胱結石などを総称した呼称です。
ちなみに尿管とは尿、つまりおしっこが腎臓から膀胱へと運ばれてくる管のこと。尿路とは、尿管や尿道など、おしっこが膀胱から体の外へと排出されるさいに通る管の総称です。
尿路結石の原因には食事が深くかかわっていると指摘されます。
最近、患者数が増えていますが、この背景には食べすぎや高脂肪・高たんぱくの食事、野菜や海藻の不足などが原因として考えられているのです。
こうした近年の日本人の食事の変化が肥満や高脂血症(脂質異常症)、糖尿病などの生活習慣病を招く原因になっています。
そして、尿路結石も例外ではありません。
尿路結石は、簡単にいうと尿中のミネラル(無機栄養素)などの成分が結びついて結晶化したもの。その原因となる代表的な成分が、カルシウム、シュウ酸、リン酸、マグネシウム、尿酸です。
結石はこれらの成分によって、いくつかの種類に分けられます。
特に多いのが、シュウ酸と尿中のカルシウムが結びついて結晶化した「シュウ酸カルシウム結石」で、全体の約8割を占めるほどです。
シュウ酸カルシウム結石ができるしくみは、尿中でシュウ酸とカルシウムが結合すると、たんぱく質などを接着剤にして、尿酸の力を借りながらだんだん大きくなると考えられています。
結石の材料になるシュウ酸を減らそう
やっかいなことに、尿路結石は一度できると再発しやすい特徴があり、4年以内に約半数の人が再発するといわれます。
つまり、日ごろからの予防が何より大切ですが、そのためにまず重要なのがカルシウムやシュウ酸の食事の中でのとり方です。
現代の日本人はカルシウムの摂取量が不足しがちなので、骨や歯、血管の健康のためにもカルシウムの量をこれ以上減らすのはさけたいところです。
そこで、結石体質の人が実践すべきはシュウ酸の摂取量を減らすことです。
どんな食品にシュウ酸が多いのか
シュウ酸を多く含む食品には、ホウレンソウやナス、ゴボウ、タケノコなどのアクの強い野菜があげられます。
そのほか、意外なものとしては、バナナやココア、キャベツ、レタス、ブロッコリー、チョコレート、コーヒー、紅茶といった多種多様な食品にシュウ酸が含まれています。
中でも含有量が多いのは、ホウレンソウ、バナナ、ココア。
いずれも栄養的に優れた食品であり、積極的にとりたいところですが結石体質の人は多食をさけて、例えばバナナは1日1本くらいにしたほうがいいでしょう。
シュウ酸が多い主な食品 早わかり表(いずれも100グラム中)
●ほうれん草…800ミリグラム
●バナナ…500ミリグラム
●キャベツ…300ミリグラム
●ブロッコリー…300ミリグラム
●カリフラワー…300ミリグラム
●レタス…300ミリグラム
●さつまいも…250ミリグラム
●ナス…200ミリグラム
●ダイコン…50ミリグラム
●小松菜…50ミリグラム
●カブ…50ミリグラム
●お茶(玉露)…1350ミリグラム✳︎
●抹茶や煎茶…1000ミリグラム✳︎
●番茶…670ミリグラム✳︎
●ココア…623ミリグラム✳︎
●ほうじ茶…286ミリグラム✳︎
✳︎は茶葉や粉末、豆などの状態で計算
シュウ酸を半分に減らせる料理法とは?
とはいえ、シュウ酸はたいていの食品に含まれているので、摂取量を減らすのはなかなか大変というの人もいるでしょう。では、何かシュウ酸の摂取量を減らす秘策などはないのでしょうか。
実をいうと、料理法に秘策があります。
例えば、ホウレンソウは、3分間ゆでて水分を絞るおひたしにすることで、「シュウ酸の量を約半分に減らせる」ことが報告されています。
また、意外かもしれませんが、シュウ酸はカルシウムといっしょにとることで、シュウ酸の体内への吸収を抑えられることがわかっています。これは腸管内で、シュウ酸とカルシウムが結合し、便とともに排出されやすくなるため、尿中を漂うカルシウムとシュウ酸が結晶化するのを防げるためです。
ゆでた野菜にカルシウムが多いチリメンジャコをかけたり、コーヒーにミルクを加えたりすれば、シュウ酸の害をかなり抑えられると考えられます。
尿路結石が心配な人は、病院でも診てもらいつつ、料理法などで工夫してみてください。
記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。
写真/©カラダネ © Fotolia
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