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「アカモク」ってなに?歴史から健康作用まで、アカモク研究の権威・北大の宮下教授が解説
海藻は低カロリーであることや腹持ちがいいことから、ダイエットの強い味方として知られています。サラダや酢の物などの幅広い食べ方ができ、みなさんの食卓にもよく登場するはずです。
数ある海藻類の中でもダイエットに役立つと、大きな注目を集めているのが「アカモク」です。最近では、NHKや民放のテレビ番組でも取り上げられたことから、すでにその存在を知っている人もいるのではないでしょうか。
では、アカモクとはどんな食べ物なのか、北海道大学大学院水産科学研究院教授の宮下和夫先生に話をお聞きしました。
アカモクは日本各地で呼び名が違う⁉︎
アカモクは、ヒジキが属するホンダワラ科の1年草の海藻で、全長7〜10メートルにも成長し、北海道から鹿児島までほぼ全国で生育しています。
広い地域で生育しているにもかかわらず、アカモクという海藻の名前はあまり知られていません。実は、アカモクとは学名(標準和名)で、日本各地で通称(呼び名)が異なるのです。例えば、秋田では「ギバサ」、山形では「ギンバソウ」、新潟では「ナガモ」と呼ばれています。
アカモクの地域別の呼び方
各地でいろいろな名前で呼ばれているアカモクですが、秋田や山形、石川など日本海側の一部の地域でしか食されていませんでした。それどころか、太平洋側では、大きく成長するアカモクが船のスクリューやカキの養殖施設などに絡まるため、やっかいな海藻としてじゃま者扱いされていたのです。
内臓脂肪を減らす!健康海藻として大注目
肥満は、活動で消費するエネルギーより食事で摂取するエネルギーが多いことで起こります。そのため、余分な体脂肪を減らすには、摂取エネルギーを減らすか、あるいは消費エネルギーを増やすしかありません。しかし、無理な減食や運動は続かず、リバウンドを起こしてかえって肥満状態を悪化させる原因にもなります。
そこで私は、食品を利用して代謝(体内の化学反応)を活性化してエネルギー消費を増やすことができるなら、理想的なダイエットができるはずだと考えていたのです。そして、長年の海藻研究を通して発見したのが、アカモクの体脂肪を減らす働きでした。
アカモクに注目した理由は、海藻の中でも「フコキサンチン」という成分が多いからでした。フコキサンチンとは、ワカメやコンブ、モズクなどの褐色の海藻に含まれている赤色の色素成分のこと。緑黄色野菜に多いカロテンやトマトに含まれるリコピンと同じくカロテノイドの仲間で、その中でも変わった化学構造をしています。難しくなるので構造の詳細は省きますが、フコキサンチンはその変わった構造によってさまざまな作用を持ちます。
例えば、カロテノイド類はそれぞれ抗酸化作用(攻撃力が強い活性酸素を除去する働き)がありますが、とりわけフコキサンチンの抗酸化作用は強力です。また、ガン細胞に対して強く働きかけ、増殖を抑制する作用があると学者の間で注目を浴びました。
フコキサンチンの抗作用の研究を続ける過程で、フコキサンチンが体脂肪を熱に変える特殊なたんぱく質を作りだすことを発見したのです。ですから、フコキサンチンが豊富なアカモクを食べれば、特に内臓脂肪を減らし、減量に役立つと、私は考えています。
一部地域でしか食べられてこなかったアカモクですが、今では20以上の都道府県で食べられており、取り扱う食料品店も増えています。
また、アカモクは独特の食感が人気です。メカブ以上にネバネバ感が強く、それでいてかむとシャキシャキした歯ごたえがあり、月並みないい方ですが、本当においしいのです。この食感や味が抜群と、ファンを増やしています。おいしくて体脂肪減らしに役立つアカモクを、ぜひ一度食べてみてはいかがでしょうか。
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