【専門家考案】脳トレが苦手な人も楽しめる脳修復ワードパズル|物忘れや認知症の進行予防に|カラダネ

カラダネ(わかさ出版)
医師や専門家とあなたをつなぐ、
健康・食・くらしのセルフケアが見つかる情報サイト

【専門家考案】脳トレが苦手な人も楽しめる脳修復ワードパズル|物忘れや認知症の進行予防に

解説 デイサービスたまや管理者
小野寺亨子

年齢を重ねると、会話の中にアレソレが増えたり、置き場所忘れや買い物のし忘れ、名前忘れや約束忘れといった物忘れが増えたりするものです。

しかし、脳はトレーニング次第で若返り、物忘れ予防になるばかりか、認知症が改善する期待さえ持てるといいます。今回は、専門施設でも活用されて改善実績もある脳トレパズル「脳修復ワードパズル」について、考案者のデイサービスたまや管理者の小野寺亨子先生に話をお聞きしました。

大流行の脳トレ!でも楽しくなければ意味がない

物忘れは、つい「年のせい」ですまされがちですが、油断は禁物です。実は、近年の研究で、軽い物忘れでも気になるほど増えれば、本格的な認知症の前ぶれ段階である軽度認知障害(MCI)の疑いがあるとわかっているそうです。

海外の研究では、軽度認知障害になると、半数近い人は数年でアルツハイマー型認知症になる恐れがあるという報告もあります。つまり、こうした物忘れは、実は脳の衰えが進んだサインといえるのかもしれません。

とはいえ、軽度認知障害に陥っていても、脳を刺激して活性化させる生活を心がければ、認知症の発症を食い止められる可能性のあることが、さまざまな研究でわかっています。

脳の衰えを防ぐ一つの方法として、脳を刺激し活性化する「脳トレパズル」はおすすめです。脳トレパズルのような知的刺激が多いほど脳を若々しく保てることが、国内外の研究でも確認されています。

ただし、従来の脳トレには、知識を問うものや難しいものも多く、なかなか取り組む意欲のわかないものも少なくないようです。
そこで、誰でも楽しく感じて夢中で取り組める脳トレパズルはないのかを探しました。楽しいと感じる脳トレは、習慣にできますし長く続けられます。また、楽しさはやりがいにつながり、生活を豊かにできるはずです。

ここでみなさんに紹介したいのが、「脳修復ワードパズル」です。
実際に、脳が修復されることが医学的に証明されてはいませんが、このパズルに取り組むことでなんらかのいい影響が出ているので、期待を込めてこのように名づけています。

もちろん、感じ方には個人差がありますが、知識がなくてもできるという点では簡単ですし、楽しくて中毒性もある脳トレパズルといえるのではないでしょうか。

専門家が考案した本当におもしろい脳トレとは?

脳修復ワードパズルは、認知症の進行予防を目的としたプログラムを多く取り入れた介護施設「デイサービスたまや」のスタッフ全員で考案した脳トレです。

愛知県名古屋市にあるデイサービスたまやでは、「孤独感ゼロ・足のむくみゼロ・空白の時間ゼロ」を運営理念として掲げており、当初はその理念の一環として市販の脳トレパズルを解いてもらっていました。ところが、市販の脳トレパズルには多くの難点がありました。

認知症の人を考慮しすぎて、問題が易しすぎる(飽きてしまう)

高齢の人には解けない問題も多い(難易度や高齢の方が知らない単語を使うなど)

脳トレ自体をやりたがらない人が多い(興味を持てない)

そうした難点を改善すべく考案したのが、「脳修復ワードパズル」なのです。脳修復ワードパズルは、カタカナを並び替えるだけなので、高度な知識や学力を必要とせず、簡単な日本語さえ知っていれば誰でも取り組めるものになっています。

また、問題の解き方を何度も説明する必要がなく、問題を見ただけで自然に正しい答えにたどり着くことができます。そのため、誰もが夢中に取り組めて達成感も高く、今までのどんな脳トレパズルよりも継続率が格段に高まったのです。

脳修復ワードパズルの特徴

脳修復ワードパズルは、夢中で取り組める工夫が満載です!

  1. 簡単な日本語さえ知っていれば誰でも取り組める。
  2. 60代70代80代以上の人が知らない、使わない言葉は現場目線により排除して作られている。
  3. 問題を見ただけでなんとなく答えを推測できるように工夫され、自然と「解いてみよう」という気持ちになれ、楽しく取り組める。

もちろん、脳修復ワードパズルは認知症の人にしか向いていないわけではありません。ふつうの人でも十分に楽しみながら、物忘れを改善する作用も期待できます。実際に、脳修復ワードパズルの問題を施設から持ち帰って、家族みんなで楽しんでいる利用者の人もいるようです。

最後に、脳修復ワードパズルがどのような問題なのか、説明しましょう。ここでは、脳修復ワードパズルの中から、「5文字並べ替え」を解いてましょう。

「ラ・ボ・ン・ク・サ」という5文字があります。これを並べ替えて、言葉を考えます。
「ランボクサ」「サクラボン」…はい、「サクランボ」になります。かなり頭を使います。
(解説:小野寺亨子)

s_Fotolia_125908456_Subscription_Monthly_M.jpg

【体験談】思い出す力アップし、笑顔も増えた

健康情報誌『夢21』で2016年に紹介された人の例をここで報告しましょう。

風間泰子さん(仮名・83歳)はご家族のすすめでデイサービス(日帰り介護)に通うようになりました。80歳になったころから認知症を発症し、ご飯を食べ終わった瞬間に食べたものを忘れてしまうほど物忘れが進んでいました。

そんな状態の風間さんは、物事に取り組む意欲も集中力も失せてしまい、無気力になっているように見えました。このままでは、風間さんの認知症はどんどん悪化してしまうのではないかと、危惧されたので、風間さんに誰でも楽しく行える「脳修復ワードパズル」を行ってもらうようにすすめたのです。

風間さんは脳修復ワードパズルに夢中になって取り組み、週4回あるデイサービスの日は毎日、欠かさずに行うようになりました。始めて9カ月後には、風間さんの頭の働きは、目に見えてよくなっていったそうです。

風間さんは脳修復ワードパズルを始めて以来、コミュニケーションという面から見ると、最初のころとは別人のようになりました。施設内での知り合いが増え、会うと挨拶を交わすようになったそうです。

s_Fotolia_62018095_Subscription_Monthly_M.jpg

脳修復ワードパズルは少し物忘れが気になるといった程度の人でもぜひ試していただきたいと思います。楽しいパズルを毎日続けて、脳を刺激すること、それが物忘れや認知症の進行予防に役立つのではないでしょうか。
もちろん、誰の脳にも同じ変化が現れるわけではない点はご理解ください。

最後に、認知症の心配がある人、疑いがある家族がいる人は、まずは専門医の治療を受けることが大前提です。脳を刺激するのに役立つ食事や運動などに加えて、こうした脳トレを実践してください。

記事にあるセルフケアは安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

関連記事

この記事が気に入ったらいいね!しよう