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【脳修復ワードパズルの働き】医師が解明!記憶力・集中力を担う脳の全部位が活性化!?

解説 阿部メディカルクリニック院長
阿部聡

現在、脳の血流がらくに調べられるようになり、脳の血流をアップさせる方法もわかってきました。そんな脳の血流増やしに役立ち、物忘れや認知症の予防におすすめなのが、脳の健康維持に役立つ可能性がある「脳修復ワードパズル」です。

今回は、脳修復ワードパズルを行うことで脳にいい影響が現れる可能性について、阿部メディカルクリニック院長の阿部聡先生に話をお聞きしました。

脳修復ワードパズルは、名古屋のデイサービスたまやで考案されたもの。脳が修復されると医学的に実証されたわけではありませんが、その期待を込めて名づけています。

言葉中枢[側頭葉]が刺激され、アレソレがなくなる

みなさんは、日常生活の中で、次のような経験をしたことがないでしょうか。

  • 会話の内容がよくわからないまま、聞き飛ばしていることが増えた
  • 自分の話している内容が相手にうまく伝わらないことが多い
  • 顔と名前が一致するまで時間がかかるようになった
  • なじみのある物の名称がすぐに思い浮かばず、会話に「アレソレ」が増えるようになった

こうしたことが増えてきたら、大脳の側面にある「側頭葉」と呼ばれている領域の衰えが疑われます。

側頭葉の位置と働き

s_側頭葉.jpg側頭葉の働き

  • 人や物の名前・意味など長期の記憶を担っている
  • 言葉を聞き分ける
  • 言葉の意味を理解する
  • 音を聞き取り、それが何であるかを認識する

そんな衰えた側頭葉を活性化する脳のトレーニングとして、「脳修復ワードパズル」はおすすめです。脳修復ワードパズルは、意味のある言葉を探し当てるため、記憶しているさまざまな言葉を思い出さなければなりません。

記憶を思い出すために必要となるのが「想起力」と呼ばれる脳の働きです。いくら多くの記憶を脳に貯蔵しても、想起力が衰えるとそれを必要なときにスムーズに思い出せなくなります。そうなると、記憶を生活に活用できず、知っているはずの知識がうまく思い出せなくなります。その結果、会話の中に「アレソレ」という言葉が増えてくるのです。

しかし、脳修復ワードパズルの問題を解けば想起力が鍛えられ、その結果として側頭葉が強化されることが期待できるのです。

なお、脳修復ワードパズルを解くさいに側頭葉の活性化を期待するなら、発声しながら行うとさらによいとされています。バラバラの言葉を組み合わせて読み上げていくと、目だけで追っていたときは気づかなかった単語を発見することがあります。側頭葉は聴覚も担っているため、発声によって聴覚を刺激することは、側頭葉の活性化にもつながる可能性があります。

記憶の中枢[海馬]が刺激され、思い出す力がアップ

物忘れは、誰にとっても悩みの種です。最近の出来事が思い出せない物忘れが頻繁に起こるようなら、脳の記憶中枢である「海馬」が衰えている重大なサインと考えられます。

海馬の位置と働き

s_海馬2.jpg海馬の働き

  • 主に短期の記憶を担っている
  • 短期記憶を保持し、必要なときに整理して想起させる
  • 長期にわたり必要な記憶は大脳皮質に振り分け、必要時に取り出す

海馬の働きをひと言でいうと、「記憶を作る」。つまり、海馬がしっかりと働いていれば、必要なことがスムーズに覚えられ、その記憶が長く保たれると考えられます。では、海馬の働きを高めて、物忘れを防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。それは、海馬に刺激をたくさん与えて鍛えればいいのです。

海馬を鍛えるためには、脳トレパズルがおすすめですが、どんな脳トレパズルでもいいというわけではありません。実は海馬はとてもデリケートな器官のため、あまりに難しすぎて、答えを導き出すことができないと、強いストレスを受けたり、脳の血流が不足したりなど、魔っ先にその影響を受けてしまいます。そうなると、記憶の整理や保管といった海馬の作業が滞り、記憶力の低下につながります。

その点、脳修復ワードパズルは、誰でも夢中になって取り組め、答えも必ず導き出せるように作られています。そのため、脳修復ワードパズルを集中してやってもストレスを感じることはありません。その結果、海馬を効率的に鍛えられる可能性があると考えられるのです。

脳の司令塔[前頭前野]が活性化し、集中力や判断力がアップ

意思決定や判断、注意、集中などを担う脳の領域が、「前頭前野」です。前頭前野は、おでこの後ろにある「前頭葉」の中にあり、大脳の30%を占める脳の要所です。

前頭前野の位置と働き

s_前頭前野.jpg

前頭前野の働き

  • 意思決定をする
  • 思考し学習する
  • コミュニケーションを取る
  • 感情を安定させる
  • 行動を抑制する
  • 意識を集中する
  • 注意を分散する
  • 意欲を出す

前頭前野の働きは多様で、記憶を思い出したり、新しいことを考え出したり、感情をコントロールしたり、状況に合わせた判断をしたりといった、非常に高度な情報処理を行っています。しかし、前頭前野は年を重ねるとともに衰えていきます。前頭前野が衰えてくると、冷静な判断ができなくなり、的確な答えを導き出すことが難しくなります。

脳修復ワードパズルは、こうした前頭前野の衰えを防ぐことにも役立つと推測されます。

問題を解くためには、ヒントとなる文字を認識し、思考・判断する作業が伴います。つまり、「認識力」「思考力」「判断力」が必要となるわけです。さらに、バラバラの文字を頭の中で整理する「情報処理力」も、問題に取り組むためには欠かせません。

こうした集中力・認識力・思考力・判断力・情報処理力は、私たちが人間らしく生きるために必要な能力で、前頭前野の働きに大きく左右されます。脳修復ワードパズルをやれば、こうした能力が使われ、前頭前野が活性化するのではないでしょうか。

ここまで述べてきたように、脳修復ワードパズルは、脳の広い範囲を刺激する作用があるため、物忘れや認知症の予防・改善にとても役立つと考えられます。毎日短時間でいいので、集中して脳修復ワードパズルを行うようにしてください。

なお、脳修復ワードパズルを行う時間は、脳が最も活発に働く午前中が理想的です。できれば、毎日同じ時間帯に行うように習慣づけるといいでしょう。同じ問題を、くり返し行ってもかまいません。また、脳にエネルギーを補うため、食事をとってから脳修復ワードパズルに取り組むようにしましょう。問題は、下の記事に用意しているので、ぜひチャレンジしてみてください。

最後に、認知症の心配がある人は必ず病医院で診てもらうことが最重要であることを忘れないでください。

記事にあるセルフケアは安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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