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【和式生活】は股関節痛が悪化する意外な原因!イスに座る洋式生活で改善した人多数

解説 ヒロ整形クリニック院長
勝野 浩

股関節痛は、年齢を重ねると多くの人が悩みます。原因はさまざまですが、結局は「股関節に大きな負担をかける生活」が重大原因となるのは間違いないでしょう。

特に畳に座る、布団で眠るなど、日本の伝統的な和式生活は股関節痛の原因になる可能性があります。整形外科専門医の勝野浩先生に話をお聞きしました。

もちろん、股関節痛に悩んでいる方は、和式生活を洋式生活にするだけでなく、専門医の治療を受けることが大切です。

和式生活だと、股関節を曲げる角度が大きくなる

すでに股関節痛の人の場合、畳の和室で寝たり起きたりする昔ながらの和式生活は、おすすめできません。
なぜなら、和式生活は洋式生活に比べると股関節への負担が大きくなって、股関節痛の人の場合は痛みを悪化させる可能性があります。

思い出してください。生活の中心が畳の和室だと、日中は座布団の上に座り、夜は布団を敷いて眠るのではないでしょうか。すると、立ったりしゃがんだりする動作がとても多くなります。
特に、しゃがむ動作のくり返しは、股関節へ大きな負担をかけるので注意が必要です。

股関節は上半身と下半身をつないでいて、姿勢のバランスを保つ要所であり、関節の可動域(動く範囲)が非常に大きいという特徴があります。例えば、しゃがんだときには、股関節の屈曲(足のつけ根をおなかに向けて曲げる動き)は120度以上にもなるのです。

とはいえ、股関節を120度以上も屈曲させて大丈夫なのは、健康な人にかぎられます。骨が変形して関節包(関節を包む結合組織)に炎症がある股関節痛の人は、大きく屈曲させると痛みが悪化します。

床から座面まで最低50センチのイスを使おう

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股関節痛の悪化を防ぐには、股関節を曲げる角度を70〜90度以内に抑えることが肝心です。
残念ながら、和室でしゃがむときは股関節の屈曲の角度が90度を下回ることはありません。そのため、股関節痛の人はしゃがまずに暮らせる洋式生活が向いているわけです。

洋式生活ではイス選びが重要です。ポイントは、座ったとき股関節がひざより高くなるイスを選ぶこと。つまり、座面が少し高いイスです。
股関節とひざの高さが同じか、股関節がひざより下になるイスの場合、股関節の屈曲の角度は90度か、それ以上になります。その点、股関節が高くなるイスでは屈曲の角度が90度以内ですみ、股関節への負担が少なくなるのです。

股関節痛は、負担の大きい生活の積み重ねが重大原因です。実際、股関節への負担が軽くなる洋式生活で痛みが和らぐ人もいます。

イス選びの目安としては、床から座面までの高さが最低でも50センチ以上(これは身長にも左右されることをご理解ください)のイスを選ぶといいでしょう。
股関節痛の悪化を防ぐために新たにイスを購入するなら、実際に座ってみて、ひざの高さが適切かどうか、股関節がつらくないか確かめてください。

もう一ついうと、お風呂の中のイスの大半は座面が低く、股関節に負担がかかりやすいといえます。
ぜひ、座面の高く安定したイスに買いかえてみてください(ただし、お風呂は滑りやすいので、安全性を考慮したものを選びましょう)。

記事にあるセルフケアは安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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