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【国立大発!昭和50年の食事の効果】薄毛・白髪予防、糖尿病や高血圧の対策にも〜連載②〜
昭和50年代の食事(以下、昭和50年食と略す)には、ダイエット作用はもちろん、アンチエイジング(抗加齢)や薄毛予防、糖尿病の改善にも役立つ驚異的なパワーが秘められています。
この記事では、昭和50年食の作用について、東北大学大学院准教授の都築毅先生に話をお聞きしました。
もちろん、健康維持には食事だけでなく適度な運動が重要であることは忘れずに。
糖尿病や高血圧の方は専門医から食事の指導があるかと思いますが、その指導を守りつつ、昭和50年食も参考にしてみてください。
昭和50年の食事を食べると内臓脂肪が減り、脂肪細胞も小さくなった
私たちは、昭和35(1960)年、昭和50(1975)年、平成2(1990)年、平成17(2005)年の4つの年に、日本人が食事で何を食べていたのか……具体的なメニューを調べて実験することにしました。
その実験とは、4つの年の1週間分(朝・昼・夕の3食を7日分で21食)のメニューを作り、その食事をそれぞれ混ぜて粉砕して乾燥させたものを、まず4週間、マウスにエサとして与える実験を行いました。
すると、昭和50年食を与えたマウスは、ほかの年の食事を与えたマウスよりも代謝(体内で行われる合成や分解などの反応)が活発になり、内臓脂肪も少ないことがわかりました。昭和50年食をとっていたマウスが最も内臓脂肪が少なく、平成17年の食事(現代食と呼ぶ)をとっていたマウスが最も多かったのです。脂肪の量だけでなく、質にも大きな違いがありました。
内臓脂肪の組織を顕微鏡で見ると、現代食を食べていたマウスと比べて、昭和50年食を食べていたマウスは内臓脂肪の細胞が小さかったのです。
内臓脂肪からは、血圧や血糖値を上昇させたり、善玉コレステロールを低下させて中性脂肪値を高めたりするホルモンが分泌されています。つまり、内臓脂肪の細胞が大きくなれば、これらのホルモンの影響で糖尿病や高血圧、脂質異常などの生活習慣病を招きやすくなります。
昭和50年食は、こうした影響が少なくなるため、このような生活習慣病の予防や改善にも役立つと考えられます。
昭和50年食の体への働きかけについては、遺伝子レベルでも確認されています。DNAマイクロアレイ(遺伝子の発現量の計測方法)でマウスの遺伝子を調べたところ、昭和50年食は、現代食に比べて体に与える負担(ストレス)がとても小さく、糖質や脂質の代謝が活発になることがわかったのです。
体へのストレスも少なくアンチエイジングにも役立つ
昭和50年食は、アンチエイジング作用も期待できます。
肌は一定のサイクルで生まれかわることは、ご存じだと思います。これを、ターンオーバー(新陳代謝)と呼びます。
最近、このターンオーバーが早過ぎるために、肌の表面の角質が薄くなり、シワやシミ、ニキビや吹き出物といった肌トラブルが起こることがわかってきました。
ターンオーバーが速くなる原因として、まず考えられるのが、偏った食事や睡眠不足による体へのストレスです。ストレスは、細胞分裂のサイクルを早くします。すると、老化を促す遺伝子まで活性化するため、肌トラブルにとどまらず、寿命を縮める一因にもなるのです。その点、昭和50年食は欧米化した現代の食事に比べて、体へのストレスの少ない食事なので安心です。
薄毛や白髪の原因【毛根の栄養不足】も防ぐ
白髪や薄毛などの毛髪の状況もまた、昭和50年食をエサとしていたマウスのほうが良好なことがわかりました。この結果はマウスの毛並みを見れば一目瞭然で、昭和50年食をとっていたマウスの毛並みは一見してきれいなのに対し現代食をとっていたマウスは老化が進んでボサボサになっています。
毛髪は8割以上がたんぱく質でできています。つまり、たんぱく質は髪の毛の重要な栄養源なのです。たんぱく質には、肉や魚、卵などの動物性のものと、納豆や豆腐、ゴマ、種実類などに多い植物性のものがあります。どちらもバランスよくとることが重要ですが、毛髪のためには植物性のたんぱく質を補給するほうが望ましいといえます。
というのも、動物性のたんぱく質をとろうとすると、一緒に動物性脂肪までとってしまうことが多く、その影響で頭皮の脂が増えたり、皮脂腺がつまったりする恐れがあるからです。また、動物性脂肪は代謝異常症や動脈硬化による血管の老化を招いて、頭皮への血流を悪化させます。
こうなると、毛髪を育てる毛根への酸素や栄養の供給が滞って毛髪の成長が妨げられ、白髪や薄毛などの原因となりかねません。こうした危険性を減らすには、動物性たんぱく質や動物性脂肪の多い現代食をやめて、植物性たんぱく質の豊富な昭和50年食に変えるのが一番です。
血糖値の急上昇を防ぐため糖尿病対策にもなる
昭和50年食に多く利用される食材は、豆類や海藻類などの「腹持ちのいい」食品で、消化スピードが遅く、ゆっくりと腸から吸収されます。そうすると、血糖値を上げる原因となる糖の吸収も遅くなるため、食後に血糖値が急上昇することを防いでくれます。
実際、昭和50年食が糖尿病を防ぐことは、昭和50年食で育てたマウスのインスリン抵抗性を調べることで判明しました。インスリン抵抗性とは、血液中の糖の調節を行っているインスリンというホルモンが正常に働かなくなった状態のことをいいます。つまり、インスリン抵抗性が高いほど糖尿病にかかりやすいことになります。
実験では、昭和50年食を食べていたマウスのインスリン抵抗性は、平成17年の食事(現代食)を食べていたマウスの5分の1近くまで減少し、インスリンの働きがよくなっていました。
そのほかにも、多彩な健康作用を得られる昭和50年食。昔を思い出しながら、一度試してみてはいかがでしょうか。
記事にあるセルフケアは安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。
写真/© Fotolia ©カラダネ
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