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寒いと多発!【心筋梗塞や脳梗塞】の予防に「酢トマト」を食べよう

解説 実践女子大学名誉教授
田島眞

数ある酢漬け野菜(酢ベジ)の中でも、酢トマトは特におすすめです。トマトというと、夏が旬ですが、今は一年中売られているため毎日食べる方も多いのではないでしょうか。

トマトに豊富な「リコピン」は美肌作用が有名ですが、実はほかのさまざまな病気の予防にも役立つ可能性を秘めています。
実践女子大学名誉教授の田島先生に話を聞きました。

心臓病にかかる率が30%近く減った研究も

みなさんの中には、トマトの赤い色素成分「リコピン」について、その名前だけは知っているという人が多いのではないでしょうか。

リコピンは、カロテノイド(動植物に含まれる赤や黄、オレンジなどの色素成分)の一種で、活性酸素(体内で生じる攻撃力の強い酸素)を強力に除去する抗酸化作用があるとして、注目を浴びている成分です。
抗酸化作用といえば、ニンジンなどに多いβ-カロテンやナッツ類に多いビタミンEがよく知られていますが、リコピンの抗酸化力はそれらよりも強いとされ、β-カロテンの約2倍、ビタミンEの100倍以上にもなるといわれているのです。

つまり、トマトを食べると、リコピンの作用で体内の過剰な活性酸素が減って血液がサラサラになる可能性があるわけです。すると、血管の損傷やコレステロールの酸化が起こりにくくなって、動脈硬化の進行も抑えられるのではないでしょうか。

実際、トマトをよく食べる地中海地方では、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などの血管系の病気が少ないという報告があります。2003年、米国ハーバード大学公衆衛生学部の研究グループが約4万人の女性を対象に行った調査では、トマトをベースとした料理を週7回以上とっている人は、週1~1.5回の人たちと比べて、心筋梗塞などの心臓病にかかる率が実に30%近く低いことが確認されているそうです。

特に冬は、寒さで脳梗塞や心筋梗塞といった血管のつまりによる病気が多発する季節。酢トマトを食べてたっぷりのリコピンを補給し、ドロドロ血液の予防に役立ててはいかがでしょうか。

トマトのゼリー部分で血栓が作られにくくなる?

なお、トマトにはリコピン以外にもドロドロ血液を防ぐ成分が含まれています。

スコットランドのアバディーンにあるロウエット研究所では、トマトの種のまわりのゼリー状の部分に、血液に含まれる血小板の凝集(血液を固まりやすくする成分)を抑えて、心筋梗塞や脳梗塞の原因になる血栓を作られにくくする作用があると報告しています。
ボランティアを対象に、トマトを食べてもらい血小板の変化を調べたところ、トマト4個を食べたときに、最大72%まで血小板の凝集が抑えられたと報告されているそうです。

このように、トマトには血液をサラサラにして、冬に危険な心筋梗塞や脳梗塞の予防に役立つ可能性があります。酢についても、血液をサラサラにする働きが期待されています。
もちろん、酢トマトを食べたからといって確実に病気が防げるわけではなく、心筋梗塞や脳梗塞を防ぐには、高血圧や高血糖などのコントロールも不可欠。それには、病院で医師の治療は欠かせません。

酢トマトは、みなさんが健康を維持するための「規則正しい食事」の中で、毎食少量でも食べてみてください。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真カラダネ © Fotolia

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