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睡眠中の激痛【こむら返り】は自分で防げる治せる!(原因・なりやすい人・緊急対処法)まとめ
こむら返りとは、ふくらはぎに突然起こる激しい痛みのこと。こむらとは、ふくらはぎの別称です。
睡眠中に突然、足のふくらはぎがつって、激痛に襲われた経験がある人は多いのではないでしょうか。
この状態が、こむら返りです。
こむら返りの原因や予防法、緊急の対処法について医師の勝野浩先生に話を聞きました。
こむら返りで慢性的に悩んでいる方は、医師の治療を受けることが大切です。その上で、記事で紹介している予防法や緊急の対処法を参考にしてみてください。
こむら返りとは?原因や起こりやすい人は?
こむら返りの正式名称は「腓腹筋けいれん」
こむら返りは、正式には腓腹筋けいれんといいます(腓腹筋とは、ふくらはぎの筋肉のこと)。
ふくらはぎの筋肉が硬くこわばり、収縮したまま弛緩(緩むこと)しない状態が続いてけいれんを起こし、激しい痛みが数秒間、長ければ数分間続きます。
カリウムなどミネラルバランスの崩れが原因
こむら返りの原因はさまざまですが、静脈の症状として起こることがよくあります。下肢静脈瘤は、40歳以上の女性に多く見られ年齢とともに増加していきます。
こむら返りは「電解質」の異常によって引き起こされると考えられています。電解質とは、水に溶けると電気を通す物質のこと。主な電解質として、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウムなどのミネラルがあげられます。
電解質は、神経の伝達や筋肉の収縮に欠かせない物質。そのため、ミネラルのバランスが崩れると筋肉の収縮がうまく行われなくなり、こむら返りを招いてしまうのです。
下肢静脈瘤になると、ふくらはぎの血流が滞ってしまうため、ミネラルのバランスも崩れやすくなり、こむら返りが多発すると考えられます。実際、下肢静脈瘤を治療したらこむら返りが起こらなくなったという人は、少なくありません。
血流の悪さや冷えも重大原因
睡眠中などの安静時に起こるこむら返りの主な原因は、運動不足や冷えによって下半身の血流が悪くなっていることもあげられます。
私たちの全身に流れる血液は、心臓がポンプのように収縮と拡張をくり返すことで、心臓から動脈を通って臓器や筋肉など全身の細胞に酸素と栄養を運びます。そして、静脈で細胞から二酸化炭素や老廃物を回収しながら、心臓へ戻ります。
そのさい、下半身では重力に逆らって、血液を心臓へ送らなければなりません。そのため、下半身の血流はどうしても滞りがちになります。そして、血流が悪くなると老廃物や疲労物質が下半身にたまることになるのです。
ふくらはぎが硬くこわばると血流が悪化
このときに重要な働きをするのが、ふくらはぎの筋肉(下の図参照)です。
ふくらはぎの筋肉は、収縮と弛緩をくり返して、ポンプのように静脈の血液を押し上げ、心臓に戻していきます。この働きは、牛の乳搾りの動きに似ていることからミルキングアクションと呼ばれています。
つまり、ふくらはぎの筋肉が静脈血を心臓へと戻していくことによって、良好な血液循環が成立するのです。この働きがあるため、ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれています。
ところが、運動不足や冷えなどによって筋肉が硬くこわばり、収縮と弛緩が十分にできなくなると、下半身の血流が低下してしまいます。すると、ふくらはぎの筋肉に老廃物や疲労物質がたまってしまうのです。
その結果、ふくらはぎの筋肉はさらに硬くこわばり、収縮したままになってこむら返りが起こるのです。
睡眠中に起こる原因と緊急対処法
こむら返りが睡眠中に起こる原因は?
睡眠中にこむら返りが起こりやすいのは、睡眠中は足を動かすことが少なく、ふくらはぎのポンプ作用が働きにくいため。
また、寝るときはふくらはぎを下に向けていることが多いので、ふくらはぎに血液がたまりやすいことも関係しています。
こむら返りの緊急対処法
こむら返りが起こったときの緊急対処法としては、一般的な方法ですが、こむら返りを起こしたほうの足を前へ伸ばし、足先を手でつかんで手前に引っ張り、ふくらはぎの筋肉を伸ばすのがおすすめです(下の写真参照)。
とはいえ、手が足先に届かない人も多いと思います。その場合は足をまっすぐに伸ばした状態で、足の裏で壁を押すようにして、ふくらはぎの筋肉を伸ばすといいでしょう。
私のクリニックにも、こむら返りに悩む患者さんが多く訪れます。そうした患者さんたちのふくらはぎを触ってみると、ほとんどの人は、硬くこわばっています。これは、血流が悪化しているサインです。患者さんのほとんどは運動不足で、体に冷えがあります。
こむら返りを根本から予防するため、私が患者さんに指導しているのは、ふだんから速足歩きなどの運動を行って、積極的に足を動かすこと。就寝前に軽くストレッチをするのもいいでしょう。
また、冷えによって下半身の血流が悪くなることも少なくないので、薄着などによる下半身の冷えを防ぐことも大切です。
記事にあるセルフケアは安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。
写真/© Fotolia ©カラダネ
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