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【下肢静脈瘤の原因】下肢静脈瘤は足の甲にできた「抜け道血管」が原因と医師が発見
足がむくむ、足がすぐに疲れてしまうという人がいます。その症状、実は「下肢静脈瘤」という足の血管(静脈)の病気かもしれません。
暖かくなると薄着になるので、気にしている方も多いと思います。
足の血管に圧力がかかることが原因とされ、血管が浮き出るという見た目の症状のほか、進行すると足に痛みや湿疹が現れたり日常生活に支障をきたしてしまうこともあります。
実際に多くの下肢静脈瘤の患者さんを治療してきたサトウ血管外科クリニック院長の佐藤達朗先生にお話をお聞きしました。すると、下肢静脈瘤には意外な原因があるとわかったそうです。
もちろん、下肢静脈瘤の人は必ず病院で専門医の治療を受けることを忘れずにお願いします。
下肢静脈瘤はなぜ起こるのか?
足がむくんだり、だるくなったりする悩みを抱えている人はおおぜいいます。中には、強いむくみとともに、青い血管が目立ったり浮き出たりする「下肢静脈瘤」という病気になる人もいます。
こうなると、見た目が気になるばかりか痛みやかゆみが起こることもあります。
こうした足のむくみや下肢静脈瘤は、静脈に血液がたまり、血管の圧力がかかることで起こります。私たちの体にある血管は、「動脈」「静脈」「毛細血管」に分けられます。
酸素や栄養分をたっぷり含んだ血液を心臓から運ぶのが動脈です。
その動脈から無数に枝分かれした毛細血管は、非常に細く体の末端の組織や細胞に広がって酸素と栄養分を届けると同時に、二酸化炭素や老廃物を受け取っています。そして、その毛細血管が再び集合して静脈となって心臓へ戻ります。
つまり、静脈は体内の不要物を含んだ汚れた血液を運ぶ掃除役で、体内で非常に重要な役目を果たしているのです。
そんな静脈は、心臓から離れているため血流が遅くなります。特に足(下肢)の静脈は、重力に逆らって血液を上に押し上げなければならないため、ちょっとしたことが原因で血液がたまりやすくなります。足の静脈に血液がたまると、血管に圧がかかって静脈が太く膨らんで拡張し、血管が目立ったり浮き出てきたりします。これが下肢静脈瘤です。
むくみを取ることが改善する近道
また、血液がたまって血流が滞り、血管内の圧が高くなると、血管の表面に開いている無数の穴から血液中にある血漿(けっしょう)と水分が押し出されてきます。すると、血漿がリンパ液になって水分とともに血管の周囲にある組織の間にたまってしまいます。
こうして、足のむくみが起こるのです。つまり、下肢静脈瘤の発症を防ぎ、また、できた静脈瘤が大きくならないようにするには、血管の圧を取り除き、むくみを取ることが重要になってきます。
下肢静脈瘤の手術をしても再発する人がいた
では、そもそもなぜ、静脈内で過剰な圧がかかってしまうのでしょうか。
今までは、静脈にある血液の逆流を防ぐ弁(静脈弁)が働かなくなることが原因と考えられてきました。その結果、血液が上から下へと落ち、足にたまってしまうというわけです。
ところが、この静脈弁を治す手術をしても、下肢静脈瘤が再発したり、逆にむくみがひどくなったりする人がおおぜいいます。実は、むくみや下肢静脈瘤が起こる原因は、静脈弁とは別の場所にもあったのです。
8000人の治療経験で見つかった「抜け道血管」
私は、下肢静脈瘤を専門として、20年以上にわたって8,000人以上の患者さんの治療を行ってきました。その結果、今までに知られていなかった静脈の構造を発見し、それがむくみや下肢静脈瘤の原因であることを突き止めました。それが、足の甲にある「抜け道血管」です。
私のクリニックを訪れる患者さんを診ると、ほとんどの下肢静脈瘤や足のむくみは、抜け道血管が原因で静脈に圧がかかって起こっていました。この抜け道血管を塞げば、下肢静脈瘤や足のむくみの予防・改善ができることがわかったのです。
抜け道血管を自分で塞ぐ方法については、別の記事で紹介します。簡単ですので、ぜひ試してみてください。
この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。
写真/©カラダネ © Fotolia
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