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【医師解説】便秘と下腹太りを一挙に対策!腸の働きをよくする評判運動「おなかインアウト」
おなかについた内臓脂肪が腸を圧迫し便が滞ってしまうタイプの便秘があるそうです。おなか太りで便秘の人は、まずはおなかをへこませるダイエット運動が重要。
とはいっても、なかなか運動の時間を作れない、難しい運動はできればやりたくないというのが正直なところ。
そこで、川村内科診療所の所長で医師の川村昌嗣先生に、実際にご自身が下腹太りと便秘に悩んでいた時に考案したという「おなかインアウト」という体操を教えていただきました。
仕事や家事の合間にもできて簡単なので、おすすめです。
もちろん、誰にも効く夢の運動はありませんが、このおなかインアウトの場合は、続けることで多くの人に成果が現れるはずです。
歩行中のおなかインアウトで10キロ減
「おなかインアウト」という運動法は、私自身が、肥満改善のために長続きする運動法を模索しているときに私自身が考えた体操です。
「おなかをへこませたり(イン)出したり(アウト)すれば、腹筋運動と同じ作用が得られるのではないか?」
と気づいたのがきっかけでした。
このおなかインアウトは、肥満を改善する以外にも、前述したように便秘の改善にも大いに役立ちます。私はかつて、下腹太りだったときにズボンのベルトがきつくなり、ときどき便秘が気になったことがあります。
そこで、通勤時間を利用して、1歩ごとにおなかを出してへこませるというおなかインアウトを、4年間続けました。
すると、体重は76キロから66キロ(身長は172センチ)、腹囲は86センチから69センチに減りました。もちろん便通は快調になり、便秘で苦しむこともなくなったのです。
おなかインアウトのやり方ですが、基本的には「おなかをへこませる(イン)」、「おなかを出す(アウト)」の2つの動作をくり返すだけです。くわしくは下の写真をご覧ください。
インの動作のときは腹筋に力を入れ、1~2秒かけてゆっくりと腹筋を背中側に引きつけるようにします。初めての人や腹筋が弱い人は、腹筋の力だけだとインの動作がしづらいこともあります。そのときは、口から息を吐いたり、両手でおなかを押したりしながらへこませてもいいでしょう。おなかをへこませたら、続けて、おなかを出します。やはり1~2秒かけて、ゆっくりと行ってください。
このときに大事なことは、腹筋に力を入れておなかを出すこと。へこませたときの反動を利用したり、腹筋の力を抜いたりしておなかを出さないことです。おなかに手のひらを当てて、その手を腹筋で押し出す感覚で練習するといいでしょう。
イン・アウトの動作は、基本的に呼吸と連動させずに行います。どうしてもおなかの動きに呼吸が合ってしまう人は、それでもかまいませんが、おなかの動きに対して腹筋に力を入れることを意識してください。
それでもうまくできない人は、横になって練習しましょう。まず、おなかの上に手を重ね、中指か薬指がおへその上に来るように載せます。腹筋に力を入れながらゆっくりとおなかをへこませます。そして、今度は、この重ねた手を、おなかを上方に突き出すように腹筋に力を入れて、ゆっくりと手を上に持ち上げます。手に力を入れて、腹筋の力に抵抗するように行うと、より効率的です。
速さは呼吸の動作と同じようにします。より効率的な方法は、腹式呼吸のときと同じように、おなかをへこますときに息を吐き、上に押し上げるときに息を吸う方法です。腹式呼吸をするさいに、絶えず腹筋に力を入れておなかを出し入れする呼吸法が、理想的な方法(腹式呼吸おなかインアウト)なのです。
もしこの腹式呼吸おなかインアウトが無意識の状況でできるようになると、寝ている間も腹筋トレーニングができるようになるはずです。
下腹部を押しながらやると排便しやすい
今まで述べてきたとおり、おなかインアウトは、それ自体に便秘の改善が期待できます。さらに、トイレの中で「快便おなかインアウト」を行うのもおすすめです(下の図を参照)。
快便おなかインアウトは、下行結腸からS状結腸へ移行する部分(左の下腹部)を手で押しながら、おなかインアウトを行うというものです。
腸はS状結腸の部分のカーブがきつく、その手前で便の滞留が起きてしまいます。そこで、左の下腹部を手で押して、カーブを少し緩やかにするのです。便を押し出す勢いがつくので、つまっていた便の通りもよくなります。あまり強く押しすぎないように、便を少しずつ追い出す感じで行いましょう。
腹筋を使わずに横になって快便おなかインアウトをやるのもおすすめ。まず体の左側を上にして、横向きになります。次に、左の下腹にある便を体の中心方向に手で押しながら、腸をゆするのです。朝起きたときにやれば、朝食後、スムーズに排便できるでしょう。
最後に、便秘は軽視せずに医師の治療を受けることが大切です。同時に、改善へと導くようにご自身でも努力を続けてください。
記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。
写真/©カラダネ
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