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【橋本病やバセドウ病の人の食事】納豆やキャベツ、辛いものなど病気別「注意すべき食品」

解説 伊藤病院院長
伊藤公一

甲状腺の病気の場合、糖尿病や腎臓病のように特別な食事療法は必要なく、バランスのよい食生活が基本となります。とはいえ、治療に当たっていくつか注意すべき点もあります。

とりすぎに注意が必要な食品について、伊藤病院院長の伊藤公一先生に話をお聞きしました。

甲状腺の病気がある人は、必ず専門病院で診てもらうことが何より重要です。

海藻類を控えても改善するかは実は明確ではない

甲状腺の病気というと、ミネラル(無機栄養素)のヨウ素に対して神経質になる人が多いようです。これは、ヨウ素が甲状腺ホルモンの材料となるからで、通常は海藻類から摂取しています。

そのため、バセドウ病の場合はヨウ素の豊富な海藻類の摂取は控えたほうがいいとされてきました。しかし、海藻を控えることが症状の改善につながるかは明確ではなく、治療ガイドラインでも制限は特に必要ないとされています。とはいえ、少なめのほうが治療経過の良好な人もいることから、コンブなどヨウ素の多い食品を、今まで以上にはとりすぎないようにするといいでしょう。

橋本病の場合、バセドウ病とは逆に甲状腺ホルモンが少ないので、ヨウ素の豊富な食品は積極的にとったほうがいいと思われがちです。

しかし、橋本病では、甲状腺ホルモンの分泌がいつも低下しているわけではありません。分泌が正常になったり過剰になったりすることもあるため、ヨウ素の過剰摂取は悪影響を及ぼすと考えられます。

なお、すでに甲状腺ホルモン剤を服用して機能が正常になっている人は、ヨウ素を制限する必要はありません。

バセドウ病の人が制限したほうがいい食品

バセドウ病食品リスト-1.jpg

バセドウ病など甲状腺機能亢進症の人の場合、辛いトウガラシなどの刺激物は、代謝(体内で行われる化学反応)を高めるのでさけたほうがいいでしょう。

また、アルコール類は心臓や肝臓に負担をかけるため、甲状腺機能が亢進しているときは注意が必要です。機能が正常になっても、日本酒なら1合、ビールなら中ビン1本程度の適量を守ってください。

橋本病食品リスト-1.jpg橋本病の場合、腸の活動も弱くなって便秘になりがちです。そのため、食物繊維の多い野菜類は大いにとったほうがいいのですが、アブラナ科の野菜(キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツなど)には、抗甲状腺物質の「ゴイトロゲン」が含まれ、甲状腺の機能低下を引き起こす心配があります。また、納豆や豆腐など大豆食品に含まれる大豆サポニンにも、同様の作用があります。

しかし、これらは健康維持のために極めて有効な食品です。大量に食べなければ差し支えはないでしょう。

橋本病ならカロリー摂取は控えめに

橋本病など甲状腺機能低下症の人は、体内の甲状腺ホルモンが不足しているために代謝が低く太りやすくなります。

また、バセドウ病など機能亢進症の人は、甲状腺ホルモンが過剰なために、代謝が高く食欲旺盛なのに体重は減りがちです。しかし、治療して甲状腺ホルモンが適正になっても、食欲はそのまま旺盛なことが多いため、食べすぎで太ることが多いのです。

甲状腺機能が正常になれば、体重を週1回くらい測定して標準体重になるように、食事量を加減してください。

栄養のバランスを大切に

カロリーを抑えても、栄養不足にならないように、多様な食品をバランスよく食べるようにしましょう。

橋本病の人の場合、便秘になりがちな人も多いので、食物繊維が豊富な食品をとるように心がけてください。

バセドウ病で甲状腺ホルモンが高いときは、筋肉が弱りがちになるので、肉や魚などのたんぱく質は欠かさずとるようにしてください。また、野菜などからビタミンを、乳製品からカルシウムなどのミネラルをとるようにしましょう。

特にバセドウ病で甲状腺ホルモンが高いときは、代謝が活発なだけにおなかがすいてきます。甘いものも含めて、間食も多くなりがちです。まずは、このような食習慣から脱出してください。食事は3度、決まった時間に食べることで食事の管理もしやすく、食べすぎを防ぐことができます。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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