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【食後の逆流性食道炎対策】ガムをかんで唾液を増やすのがおすすめ。胃液の逆流を防ごう

解説 湘南予防医学研究所所長
野村喜重郎

逆流性食道炎の人の多くは、胸やけや呑酸(すっぱい胃液がのどまで上がってくる感覚)などの症状が食後に出やすい人も多いと思います。

これは食事をすると、食べ物を消化するために、さらに食べたものの中に混入している細菌を殺菌するために胃酸が多量に分泌されるからです。そのうえ、食後すぐは胃の内容物が多いので、胃の中の圧が高くなって胃酸が逆流しやすくなります。

逆流した胃酸は、食道の蠕動運動で胃へ戻されますが、食道の粘膜には胃酸が残り、ダメージを受けてしまいます。

そこでこの記事では、食道が胃酸にさらされる時間を半減させ、負担を減らす秘策を紹介します。それは、なんと「食後1時間のガムかみ」なのです。

今回は野村喜重郎先生にお話をうかがいました。みなさんもぜひ実践してみてください。逆流性食道炎の方はセルフケアだけでなく、胃腸科や消化器科などで専門医の治療を受けることを忘れないでください。

唾液は胃酸を中和して食道を守る働きがある

食道に残った胃酸から粘膜を守るために、唾液は重要な役割を果たすといいます。唾液は、中性の液体のため、食道の粘膜に残った胃酸を中和してくれるからです。さらに、粘膜を洗浄して胃酸を胃へ流し、食道を守っているのです。

そのため、食後に唾液の量が少ないと、食道を胃酸から守る働きが十分に得られず、胸やけや呑酸などの逆流性食道炎の症状が現れます。

高齢者や糖尿病の人が逆流性食道炎にかかりやすいのは、唾液の分泌量が減少しやすいことが関係していると考えられています。

唾液は1分間に約1ミリリットル分泌されていますが、口を動かしていると1分間に3〜4ミリリットルと分泌量が増えます。そこで、胃酸が逆流しやすい食後に「1時間のガムかみ」を行って口を動かし、唾液を増やすのがおすすめです。

ガムかみで食道が胃酸にさらされる時間が半分以下に

実際に、食後にガムをかむ実験をしたところ、食道が酸にさらされる時間が、半分以下に減ったという報告があります。逆流性食道炎の人は、ぜひ食事が終わったあとすぐに、1時間ほどガムをかむことを習慣にしてみてください。

ガムにはいろいろな種類がありますが、ミント(ハッカ)のように刺激の強いものは、動悸、不整脈、息づまり、喘息、下痢、腹痛、悪心嘔吐などの副作用を引き起こす可能性もあるため、さけたほうがいいでしょう。また、糖尿病の予防・悪化防止のためにも、シュガーレスのものを選んでください。
ただし、顎関節症や入れ歯などでガムをかむのが難しい人もいると思います。そういった人は、梅干しやシュガーレスの飴でも唾液は増えるので代用してみてください。

もちろん、ガムかみで食後の逆流性食道炎の悩みがすべて解決することはありません。とはいえ、とても可能性のあるセルフケアですのでぜひ試していただきたいと思います。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia

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