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自分の物忘れは「認知症の初期」でないかと不安。病院選びと受診方法を教えて【認知症Q&A⑤】

解説 慶應義塾大学病院講師・日本認知症学会専門医
伊東大介

物忘れが頻発する人は、自分が認知症ではないかと不安になります。
そうしたときは、迷わず病院を受診してください。

この記事では、認知症を心配する人がどの病院を受診したらいいか、その受診方法について、認知症専門医の伊東大介先生に話を聞きました。

かかりつけ医に紹介状を書いてもらおう。専門外来もおすすめ

「自分は認知症かもしれない」と不安な人は、一度、病院を受診して医師に相談するのもいい方法です。とはいえ、どの診療科を受診したらいいのかわからない人も多いことでしょう。
認知症は症状が多岐にわたる病気なので、患者さんの状態によって受けるべき診療科が異なります。そこで、日ごろから健康管理や持病の相談をしているかかりつけの医師がいる場合、まずはその医師に相談し、適切な診療科の専門医に紹介状を書いてもらうのがいい方法だといえるでしょう。

認知症は、主に神経内科、老年科、精神科などが担当しています。目安としては、認知症にパーキンソン病や脳卒中を合併しているような場合には神経内科、糖尿病や高血圧などの内科系の持病があるなら神経内科か老年科、うつ症状が出ていたり攻撃的だったりする症状が目立つなら精神科への受診が適しています。

かかりつけ医がいない場合は、認知症外来やメモリークリニックといった専門外来を設けている医療機関に相談するのが無難です。最近は、一度、認知症の専門医を受診して治療の方針を立て、その後、地域の医師のもとで治療を続けるケースが一般的です。
また、最近、総合病院や大学病院では患者さんの状態を診て適切な診療科に誘導する「総合診療科」を設けているところもあります。まずはそうした科で相談するのも一案です。

薬を大量に出す医師は要注意

受診にさいしては、家族か日常のようすをよく知る友人や知人に同伴してもらうといいでしょう。本人の訴えに加えて周囲の人の話を聞くことで、より正しい診断につながります。

認知症は、一度の診察だけで判断できる病気ではありません。数ヵ月から半年ほど診察を続け、経過を観察して、明らかな症状の進行があった場合に認知症と診断できます。そのため、安易に認知症と断定し、たくさんの薬を出すような医師は要注意です。

特に、高齢者の場合は複数の薬を処方されていることが少なくありません。薬の服用で思いもよらない副作用が出て、認知症の治療に支障が出るケースもあります。こうした高齢者の特性を理解し、不必要な薬を出さないことも、いい医師の条件です。
認知症の専門医がいる医療機関は、日本認知症学会や公益社団法人日本老年精神医学会のホームページからも探すことができるので、参考にするといいでしょう。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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