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家族が認知症と診断されたが、近所の人には報告すべきか教えて【認知症Q&A⑩】
家族が認知症と診断された場合、特に問題となるのが近所の方へ報告すべきかどうか。結論から先にいうと、おそらくはそのことを隠すことにメリットはありません。
認知症専門医の伊東大介先生にくわしく話を聞きました。
認知症のことを伝えるべき
認知症と診断されたら、ご本人もご家族もショックなものです。
中には、「恥ずかしい」「迷惑をかけるのではないか」「偏見の目で見られたくない」といって、周囲に認知症のことを隠してしまうという家庭もあります。しかし、認知症は誰にでも起こり得る問題です。
また、ケアには多くの人のサポートが必要です。そのため、なるべく病気を隠すことなく、ご近所どうしや親戚、友人間で情報を共有し、協力することが望ましいといえます。
特に、認知症になると、突然、1人でフラッと外に出て行って事故を起こしたり、店の物を会計せずに持ち出してしまったりするということが起こり得ます。
こうしたことを防ぐためにも、近所の人や交番、近くの商店にはあらかじめ家族の認知症のことや、連絡先について知らせておき、本人が不審な行動をしていたり、1人でウロウロしていたりするところを見かけたら自宅に連絡してもらえるようにしておくといいでしょう。
一人暮らしの認知症の人の家族は、必ず近所に伝えよう
最近では、認知症と診断されていても、軽度なら1人暮らしを続ける人が珍しくありません。このような場合も、近隣の人には症状のことを前もって知らせておきましょう。
また、できれば家族や友人が週に1回はご本人の家を訪れて、同じ日用品を何個も買い足していないか、服装は季節に合ったものを着ているか、洗濯物や布団は外に出しっぱなしにしていないか、ゴミ出しはできているか、ご飯は食べているかなど本人と自宅のようすを点検してほしいと思います。
近隣の人にはいいづらいという場合は、ヘルパーさんやデイサービス、訪問看護師、在宅医療を行う病院を利用して定期的に訪問してもらうようにしましょう。
なお、認知症と診断されても、ご本人が同窓会や地域の集まりなどに出席を希望することがあると思います。参加するのは問題ありませんが、1人で行かせると、道に迷ってしまうなど、なんらかのトラブルが起こる可能性があるので、ご本人の親しい友人や知人に知らせてサポートをしてもらうといいでしょう。
この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。
写真/© Fotolia ©カラダネ
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