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【長生きの秘訣】実は性格が大切。食事や運動以上に寿命を左右する?(シリーズ①)
健康で長生きするために必要なこと。
多くの人は食事や運動が重要であると考えます。そのことは間違いではありません。ところが、最近では食事や運動と同じかそれ以上に重要なのは、その人の「性格」だとわかってきました。
そして、長寿になる性格も編集部的には意外な性格でした。この記事は「長寿になる性格」をテーマに4回シリーズでお届けする1回め。
常葉大学健康科学部長の久保明先生に話を聞きました。
長寿になる条件が新判明。世界中に衝撃が走った!
日本人の平均寿命は延びつづけ、百寿者(100歳以上の人)の数もこの半世紀で300倍に激増し、すでに5万人を突破しています。
その一方で、もちろん寿命の短い人もいます。同じ病気を発症したり、同じような環境にいたりしても、片や長寿をまっとうし、片や短命で亡くなってしまう人がいます。なぜ、こうした違いが起こるのでしょうか。
長年、加齢(年を重ねること)と老化を研究テーマとし、3000人以上の患者さんたちの健康と加齢の状態を診てきた私にとって、寿命に関与する要因を知ることは重要な課題です。
これまで、長寿の要因を探る研究は国内外で盛んに行われてきています。そして、栄養・運動・メンタル(精神)面や、病気に対する管理の度合いなどが、長寿を達成するための重要な要因になると指摘されてきました。
しかし、健康や長寿に関する情報の中には、科学的根拠がない、つまり、信頼性が低い情報も氾濫しているというのが実情です。
そうした中、長寿の条件を解明した研究論文が米国で発表され、世界の医学界のみならず、一般の人にも大きな衝撃を与えました。いったい、どのような研究かくわしく解説していきます。
今から約100年前に研究が始まった
これから紹介する研究は、米国のルイス・ターマン博士と、ターマン博士の研究を継承したハワード・フリードマン博士によって行われたものです。
約100年前の1921(大正10)年、心理学の教授だったターマン博士は、約1500人の10歳前後の優秀な児童を選び出し、本人や親・教師に聞き取り調査を開始。その児童たちの育てられ方や日常生活・教育の環境を調べて、その後も社会生活、仕事の状況、結婚生活などの調査を続けました。
ターマン博士が79歳で死去したあと、フリードマン博士がその研究を引き継ぎ、対象者たちの死亡年齢や死亡原因も調査し、どのような要素が寿命に影響するのかを検証したのです。この調査結果は、2011(平成23年)年に「ロンジェビティ・プロジェクト(長寿の研究)」という論文で発表されました。そこで長寿に結びつく要素として挙げられていたのは、「運動」や「信心深さ(女性のみ)」「仕事の成功」「生涯現役・生涯学習」「社会的ネットワークの広さ」といった生き方のスタイルだったのです。
1500人もの性格を調べた研究は他に類がない
私は、この英文で書かれた論文をいち早く熟読し、深い感銘を受けました。中でも、特に注目した要素が「本人の性格」でした。
私たちの性格が、栄養や運動以上に健康や寿命に関与していることが、ターマン博士とフリードマン博士の論文に記されていたのです。
ターマン博士とフリードマン博士の研究は、次の点で画期的といえるでしょう。
まず、個人の性格を丹念に調査した点。これまで、どういう性格の人が長寿なのか、あるいは短命なのかをきちんと調べた研究は少なかったのです。
毎日、数百人の健康状態に気を配っている医療従事者でさえ、そういう研究を行うことは困難といえます。くわしい問診をして、一人ひとりの性格をとらえ、その性格の動向を何十年にもわたって把握し、どんな病気でいつごろ死亡したかという調査をするのは非常に難しいのです。
その点、この研究は約1500人の個々の性格を丹念に調べ上げて検証したわけですから、画期的で価値のある研究といえます。
約80年、一人の一生を見続けた画期的研究
次に、この研究は、80年にも及ぶ長期にわたって、約1500人を対象に追跡調査した点。1921年の時点で10歳前後だった児童を約1500人も選び、80年かけて、その一人ひとりがどうなったのかを調査しているのです。
このように息の長い、腰のすわった研究は、世界的に見ても例がありません。
昨今、医療技術や薬の開発が急速に進歩し、適切な治療を早期に始めれば、命取りになりかねない大病でも回復できる見込みが高くなっています。しかし、例えばある治療法や服薬によって寿命を延ばせるかどうかについて調べた研究の多くは、数カ月、長くても数年の期間で行われたものにすぎません。
私たちの精神や体は常に変化しており、成長している時期もあれば、衰えてくる時期もあります。その治療法や服薬が本当に健康によい影響を与えるかどうかは、多くの人の、そして同じ人の健康状態や死亡年齢を長年にわたって追跡して調査する必要があるでしょう。
ターマン博士とフリードマン博士が行った研究は、80年というほぼ一生を通して同じ人たちの生活を追いつづけたもの。極めて貴重であり、そこには今まで知られていなかった事実があるのです。
さて、本題の長寿になる性格とは?この研究でわかった寿命と性格の関係について、シリーズ②③の記事にてくわしく解説していきましょう。
この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。
写真/© Fotolia ©カラダネ
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