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子宮頸がんの前段階【子宮頸部異形成】を早期発見に導く検診の手順とは?専門医が詳細解説
子宮頸がんの前段階である子宮頸部異形成。子宮頸がんを防ぐためにも、早期の発見と適切な治療が重要です。子宮頸部異形成を発見するにはどのような検査が必要なのか、いけした女性クリニック銀座院長の池下育子先生にくわしくお聞きました。
子宮頸部異形成は子宮頸がん検診で見つかることが多い
子宮頸部異形成は、自覚症状がほとんどないため、異常を自分で察知できません。そのため、子宮頸部異形成のほとんどは、子宮頸がん検診で見つかります。
子宮頸がん検診には、このような検査があります。
❶細胞診
細胞診で異常があった場合、以下の検査に進みます。
❷コルポスコピー診・組織診
❸ハイリスクHPV検査(HPVは異形成や子宮頸ガンの主な原因であるヒトパピローマウイルスの略)
子宮頸がん検診の流れ
①細胞診
細胞診は、子宮頸がん検診における一次検診です。
やり方は、子宮の入り口をヘラやブラシなどでこすり、細胞を採取してから陰性(従来のクラスⅠ〜Ⅱ、ベゼスタ分類でNLIM)なのか、子宮頸部異形成(従来のクラスⅢa〜Ⅲb、ベゼスタ分類でLSIL、HSIL)なのか、子宮頸がん(従来のクラスⅣ〜Ⅴ、ベゼスタ分類でHSIL、SCC)なのか診断します。
細胞診で陰性と診断されたら、それ以降の検査を受ける必要はありません。従来のクラスⅢa〜Ⅴ(ベゼスタ分類でASC-USからSCC)と診断されたら、組織診とHPV検査が必要になります。
②コルポスコピー診・組織診
コルボスコピー診は、子宮頸がん検診における2次検診です。
やり方は、子宮頸部を拡大して観察するコルポスコープという特別な検査機器を使い、異形成の進行具合を目で見て確認します。また、所見のあるところから組織を採取して組織診を行います。
③ハイリスクHPV検査
HPV検査は、子宮頸部の細胞がHPVに感染しているかどうか調べる検査です。採取した腟分泌物で調べます。
HPV検査では、ハイリスク型に感染しているかどうか、感染している場合はウイルスの種類もわかります。
子宮頸部異形成で、HPVの感染が認められた場合、3ヵ月後〜6ヵ月後に再び定期検診を受けます。ウイルスのタイプによっては、コルポスコピー診を合わせて受けます。
治療が必要になるのは高度異形成以上。それ以下の場合も慎重な経過観察が必要
高度異形成以上の場合は治療が必要になる
検査結果から、子宮頸部異形成や子宮頸がんと診断されたら、治療方針を検討します。ただし、子宮頸部異形成で治療が必要になるのは高度異形成(従来のクラス分類でⅢb、ベゼスタ分類でHSIL)以上です。陰性(NILM)やクラスⅢa(ベゼスタ分類でLSIL、HSILの一部)の場合は、しばらく定期検査を受けながら経過観察することになります。
高度異形成がどの段階なのかは、以下の表で確認してください。
定期的に検診を受けて異形成の進行度をチェックすることが大切
陰性だったとしても油断は禁物です。クラスⅢa〜Ⅲb(ベゼスタ分類でLSIL、HSIL)の人は定期検診を必ず受け、異形成の進行度をチェックすることが子宮頸がんの早期発見と治療につながります。
軽度異形成の人は、3〜6ヵ月ごとに細胞診と、必要に応じてコルポスコピー診を受けることがすすめられます。
中等度異形成の人も、3ヵ月ごとに細胞診とコルポスコピー診を受け、厳重に経過を見ることが肝心です。
なお、中等度異形成の状態が2年以上続いたり、高度異形成と診断されたりした場合は治療を検討します。
この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。
写真/© Fotolia ©カラダネ
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