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医師解説【子宮筋腫や子宮頸部異形成】などの婦人病は骨盤内の冷えも重大原因。体を温める「温活」で防ごう
冷えは万病の元といいますが、子宮筋腫や子宮頸部異形成などの婦人病もその可能性があるといいます。子宮筋腫や子宮頸部異形成の女性におすすめの体の冷え対策について、東京有明医療大学教授、東洋医学研究所付属クリニック医師の川嶋朗先生にお話を聞きました。
子宮筋腫は、ほかの病気でも同じような症状がみられるケースが多いため、発症に長期間気づくことができない人が多い病気です。自覚症状に気づいたら速やかに産婦人科で検査を受けてください。
子宮頸部異形成も自覚症状が現れにくい病気のため、子宮頸がん検診で見つかるケースがほとんどです。早期発見によって子宮頸がんのリスクを抑えるために、定期的に検診を受けることを忘れないでください。
骨盤内の冷えが子宮筋腫や子宮頸部異形成の原因になる?
子宮頸部異形成のがん化はHPVの長期感染以外に原因がある?
子宮筋腫や子宮頸がんの前段階(前がん病変という)である子宮頸部異形成が発症する根本原因は、今のところよくわかっていません。
子宮頸部異形成については、「ハイリスク型ヒトパピローマウイルス」(HPV)の長期感染が原因の一つといわれていますが、半数以上の患者さんは自然治癒するため、HPV以外にがん化の原因が潜んでいると考えられます。
重大原因として、骨盤内の血流悪化や酸素不足が注目されている
子宮筋腫や子宮頸部異形成が起こる重大原因として、近ごろでは、骨盤内の血流悪化や、それに伴う酸素不足が注目されています。骨盤内の血流が悪くなり、酸素が十分に供給されなくなったら、当然のことながら子宮が冷えて活力が低下します。
医師の私は、10年以上前から統合医療(近代西洋医学に伝統医学や相補・代替医療を取り入れて治療すること)に力を入れ、東洋医学の概念である「冷え」を重視しながら患者さんを診てきました。というのも、冷えはあらゆる病気と切っても切れない関係にあるからです。
体を温めると免疫力の増強が期待できる
体を温めると免疫力の要であるリンパ球が増える
冷えとは、手足や腰などがいつも冷たく感じる症状、あるいは体質をいいます。
しかし、西洋医学には、冷えの概念がありません。あえて西洋医学で冷えを解釈するなら、「循環不全による血流不足」、あるいは「代謝(体内で行われる化学反応)の低下によるエネルギー産生不足」といえるでしょう。
成人の体内では、常に5〜6リットルの血液が循環しており、酸素や栄養を運び、不要になった二酸化炭素や老廃物を回収しています。全身のどこかの部位の血流が滞れば、たちどころに障害が発生します。
特に、細胞小器官であるミトコンドリアのエネルギー産生の働きが低下すると、体はいっそう冷えてしまうのです。そうなったら、免疫力(病気から体を守るしくみ)が低下し、さまざまな病気を招きやすくなるでしょう。
具体的には、白血球に含まれるリンパ球の数が急激に減ってしまいます。免疫力の要であるリンパ球は、血液1マイクロリットル中に2100〜2500個含まれているのが理想ですが、冷え体質の人はリンパ球の数が1000個以下に激減することがあります。
そこで、積極的に体を温めれば、リンパ球の数を再び2000個以上に増やせることもわかっています。それだけリンパ球が増えれば、体内に侵入した病原菌やウイルスに打ち勝てることが期待できます。
子宮頸部異形成の人はおなかを温めて骨盤内の血流を促すべき
特に、子宮頸部異形成の人は、子宮に感染したHPVを退けたり、細胞のがん化を防いだりする必要があるため、冷えによる免疫力の低下を防ぐことが重要になります。
骨盤内の血流を促し、酸素を供給してエネルギー産生を活発にするためには、おなかを温めるのが1番と私は考えています。
おなかには腹筋や背筋、内臓や背骨を支える深部筋肉があるほか、数多くの血管が密集しており、血液が盛んに流れています。ですから、おなかを温めると血流がよくなって酸素が十分に行き届き、筋肉のエネルギー消費によって熱を発しやすくなり、子宮が温まると考えられるからです。
温活で骨盤内の冷えを改善する方法
温活の基本は規則正しい生活習慣や食事、運動
私は、婦人病を退ける健康な体を実現するために、以前から「温活」(体を保温する取り組み・活動)による冷えの改善を、多くの患者さんにすすめています。
温活の基本は、規則正しい生活習慣につきます。夜ふかしをして睡眠不足になると、体温を調節する自律神経(意志とは無関係に血管や内臓の働きを支配する神経)のバランスがくずれ、血流が滞って体が冷えてしまうのです。
食事や運動も冷えと大きなかかわりがあります。冷たい物を飲みすぎたり、偏食を続けたりすると、体温の源であるエネルギーが作られにくくなります。ですから、温かく栄養バランスの取れた食事をとるようにしましょう。
また、体温の約3〜4割は筋肉の熱から生まれます。運動不足になると体温がたちまち下がるので、日ごろから筋肉に適度な負荷をかける運動を行うことが大事です。
入浴、腹巻、カイロなどでおなかに温熱を加えよう
これらを踏まえたうえで、体の外部からおなかに温熱を加えてください。体を温める簡単な方法は入浴です。38〜39度Cのお湯に全身浴(心臓病の人は半身浴)で、30分ほどつかりましょう。
ほかにも、腹巻きを着用したり、使い捨てカイロを利用したりするのも、おなかを温めるのにおすすめです(以下の記事参照)。
いずれにせよ、骨盤内の冷えを改善することが、子宮筋腫や子宮頸部異形成を防ぐポイントになると私は考えます。ぜひ温活に励んで、健康な体を手に入れる一助としてください。
この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。
写真/© Fotolia ©カラダネ
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