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ひざ痛を招くO脚の重大原因は【骨盤の開き】かも?美脚も損なうと歯科医師が指摘

解説 やまだ治療院顧問
山田晶

多くの人が悩んでいるひざ痛は、O脚が重大原因であるとやまだ治療院顧問の山田晶先生は指摘します。山田先生は、1990年代から骨盤のゆがみと体の不調について研究し、本も執筆されてきた骨盤のスペシャリストです。くわしいお話を聞きました。

ひざ痛でお悩みの方は、整形外科で専門医の治療を受けたうえで、セルフケアの一環として記事を参考にしてください。

骨盤の開きすぎはO脚を招く

多くの日本人にとって、悩みの種となっているのがひざ痛です。一般的なことをいうと、大腿骨(だいたいこつ。太ももの骨)と頸骨(けいこつ。すねの骨)の間にあるひざ関節には、衝撃を吸収するための軟骨がありますが、年とともにひざ関節の軟骨が衰えると、大腿骨と頸骨がこすれあって、ひざ痛を引き起こすと考えられます。

しかし、私はひざ関節の軟骨が衰える原因は、単なる老化だけとは考えていません。最近は若い世代でもひざ痛を訴える人が増えているようですが、その背景にあると考えているのが、骨盤の開きすぎです。

下の図も合わせてご覧ください。骨盤は、中央に位置する仙骨と左右の腸骨が、仙腸関節という部分で連結する構造になっており、仙骨の上には背骨がS字状に湾曲しながら積み上げられています。そして、骨盤の下部には坐骨(ざこつ)や恥骨があり、大腿骨とつながっているのです。

正常な骨盤を正面から見ると、腸骨が左右対称に広がり、下にいくほどすぼまった逆三角形をしています。左右の恥骨の間には、わずかなすきましかありません。

骨盤を逆三角形に保っているのは、上半身と骨盤をつなぐ腹直筋や脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)、下半身と骨盤をつなぐ殿筋や内転筋といった筋肉です。しかし、年を取るごとにこれらの筋肉は衰えていきます。

こうなると、骨盤を支える筋肉の力が弱まるため、仙腸関節がゆがんで左右の骨盤のバランスがくずれやすくなると考えられます。その結果、大腿骨と骨盤の結合部分である股関節(こかんせつ)もゆがみ、大腿骨、ひいてはひざ関節が外側に引っ張られてくる可能性があります。これが、一般に「O脚」と呼ばれる状態です。

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O脚はひざ痛の原因になる

骨盤の開きすぎによって起こるO脚は、ひざ痛の引き金となると考えられます。なぜなら、O脚の人はひざ関節の位置がズレるため、ひざ関節に過度の負担がかかるからです。その結果、ひざ関節の軟骨の衰えが進んで痛みや腫(は)れが現れたり、水がたまったりするといいます。

ほかにも、O脚を放置すれば歩くときの姿勢が悪くなって、上半身の骨格にもゆがみが現れてくる可能性もあります。すると肩こりや腰痛を招いたり、内臓の圧迫によって便秘、生理不順などの病気を引き起こしたりする危険も大きくなると考えられるのです。また、当然ではありますが、O脚は見た目もよくありません。

ペタンコ座りなどの骨盤が開く姿勢には要注意

O脚がある人をよく観察すると、骨盤の上部が開きすぎているためか、股関節が外側にゆがんでひざ関節のすきまが広がっている人が多くいます。このようなO脚は、特に女性に多いのですが、これは男性に比べて筋力が少ないことと、出産のときに骨盤が大きく開くことが影響していると私は考えています。

最近は、中高年ばかりでなく、10代~20代の若者の骨盤にも明らかな変形が見られると感じます。その一因として、ペタンコ座りに代表される悪い姿勢があると考えられます。ペタンコ座りとは、ひざを曲げた状態で両足を外側に広げ、お尻を床にペタンとつける座り方のことです。最近はテレビゲームの普及などに伴い、子供のときからペタンコ座りをクセにしている人がいます。

こうなると、骨盤の坐骨や恥骨が無理に外側へ引っ張られるため、骨盤が開いてO脚を招く可能性があります。加えて、イスに座るときに足を組んだり、寝そべってテレビを見たり、荷物を片側の手だけで持ったりするのも、骨盤の開きをはじめとするゆがみを招きやすい習慣と考えられます。骨盤のゆがみを放置していると、ひざ関節の負担は増す一方。しかし、開いた骨盤を正してO脚を治せば、自然にひざ関節の負担が除かれ、ひざ痛の予防・改善につながると、私は今までの治療の経験から感じています。

そのためにも、悪い姿勢が習慣になっている人は、すぐに改めてください。加えて、骨盤を支える筋肉を強めるため、ウォーキングやスクワット(ひざ屈伸)といった運動を適度に行うようにすれば、開きすぎた骨盤を正すのに役立つことが期待できます。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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