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【高血圧を食事で下げよう】シイタケの戻し汁がおすすめ。試験では最大値も最小値も低下
シイタケはおいしいだけのキノコではありません。とにかく健康作用がすごい。食べない方が逆に損してしまいそうです。
この記事では、日本人が古くから利用してきた「干しシイタケの戻し汁」について、特に期待できる健康作用を、静岡大学名誉教授の杉山公男先生に聞きました。みなさんも今日から「戻し汁生活」、始めませんか?
干しシイタケの戻し汁を作りましょう。簡単です
それでは早速、干しシイタケの戻し汁の作り方を紹介します。
【用意するもの】
・干しシイタケ…1~2枚(1人分)
・水…150ml
・大きめのコップ
【作り方】
①ぬれぶきんで干しシイタケを軽くふき、コップに入れて水を注ぎ、冷蔵庫に入れる。
②一晩たったら干しシイタケを取り出して、コップに残った戻し汁を飲む。
必要な手順はたったこれだけ!とても簡単ですよね。
国立栄養研でも干しシイタケの降圧作用を確認
干しシイタケは、古くから日本人の食卓に欠かせない食材。乾燥によってうまみが増すことから重宝されてきました。そして、近年の研究で干しシイタケは高血圧の予防に役立つ可能性があるとわかってきたのです。
国立栄養研究所(現・国立健康・栄養研究所)の鈴木慎次郎博士らの研究グループは、遺伝的に高血圧になるネズミ(生後11週)を用いた実験で、干しシイタケの降圧作用を確認しています。
実験はネズミを2つのグループに分けて行われました。一方には干しシイタケの戻し汁を、もう一方には水を与え、血圧の変化を観察したのです。
すると、水を与えたグループでは、18週めまでに血圧が平均で57mmHg上昇しました。これに対し、戻し汁を与えたグループは、実験を始めて1週間後に血圧が下がりはじめ、平均で15mmHgしか上昇しなかったのです。
血圧の上昇を抑える働きは、戻し汁の投与を中止する生後20週まで続きましたが、中止後は水を与えたグループと同じくらいまで血圧が上昇しました。つまり、干しシイタケの戻し汁を与えていた期間だけ、血圧の上昇が抑えられていたのです。
最大血圧が約60mmHg下がった人もいる
干しシイタケの降圧作用は、ネズミだけでなく、人の試験でも確認されています。
浴風会病院に勤務していた谷岡達男医師は、高血圧の患者さんに、コップ1杯の干しシイタケの戻し汁を毎日飲んでもらい、血圧の変化を調べました。すると、数日後には高い血圧が下がりはじめ、早い人では1週間~10日で最大血圧も最小血圧も下がったことが確認されたそうです。
谷岡医師の報告から、具体的な例をいくつか紹介しましょう。
まずは、肥満ぎみだった62歳の女性。脳卒中の後遺症があり、最大血圧は186mmHg(正常は130mmHg未満)、最小血圧は84mmHg(正常は85mmHg未満)でした。
しかし、食事療法とともにシイタケの戻し汁を飲んだ結果、1週間後に最大血圧が140mmHg、最小血圧が80mmHgになりました。さらに2週間後には、最高血圧が116mmHg、最小血圧は80mmHgまで下がり、以後安定したそうです。
次に、80歳の女性。最大血圧は210mmHg、最小血圧は98mmHgでした。病院での治療に加えて、自宅でシイタケの戻し汁を飲みはじめたところ、なんと2ヵ月後には最大血圧は152mmHg、最小血圧は82mmHgにまで下がったそうです。
最後に、最大血圧146mmHg、最小血圧106mmHgで高血圧だった40歳の男性。治療とともに干しシイタケの戻し汁を飲んで10日後に、最大血圧118mmHg、最小血圧94mmHgまで下がったといいます。
個人差はありますが、干しシイタケの戻し汁を飲んで、比較的早い時期から降圧作用が得られる場合が少なくありません。もちろん、干しシイタケの戻し汁を飲めば誰でも血圧が下がるというわけではありません。医師の治療を受けつつ、セルフケアの一環として試してみてください。
記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。
写真/© Fotolia ©カラダネ
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