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【専門医解説】股関節痛が和らぐ「股関節カイロ」のやり方。軟骨再生も期待
ドラックストアやコンビニなどで簡単に入手できる「カイロ」。
そのカイロを使うだけで、股関節痛をはじめ、さまざまな関節痛を解消するセルフケア法を整形外科医の坂井学先生は患者さんにすすめています。
そのやり方はもちろん、なぜ痛みが和らぐのか、くわしくご解説していただきました。とてもお手軽なので、ぜひ試してみてください。
股関節痛には湿布よりカイロ
「湿布はよくありません。カイロに替えてみてください」というと、ほとんどの患者さんはビックリします。
股関節痛のような関節痛には、多くの病医院で消炎鎮痛作用のある湿布や内服薬が処方され、患者さん自身も薬局で湿布を買って使っています。それだけに、湿布をやめてカイロを貼ることに違和感を覚えるようですが、実行した患者さんのほとんどが、痛みが軽減し、体調がよくなったと、喜んでくれています。
痛みは炎症によって起こりますが、炎症は体の修復過程ですから、無理やり抑え込んではいけないのです。
私たちの体がダメージを受けたとき、プロスタグランジンというホルモンが増加し、患部の血液循環を増やし、ダメージを回復しようとします。そのときに炎症が起こって痛みを感じるのです。
痛みは道路工事の騒音と同じ!?
私は、この痛みの仕組みを患者さんに説明するさいに、よく道路工事にたとえます。道路が凸凹になって修復工事をするときに、騒音やほこりが発生し、不快になるときがあります。しかし、工事が完了すれば、騒音やほこりはなくなり、道路もきれいになって快適に走行できます。
私たちの体も同じで、体がダメージを受けると、修復するためにプロスタグランジンが働いて血液循環を増やします。しかしそのとき、道路工事で騒音やほこりが出るように、炎症に伴う痛みや腫れが起こるのです。ダメージの修復が終われば、プロスタグランジンの働きも収まって痛みや腫れは解消します。
そのため、湿布などに含まれる消炎鎮痛成分で、むやみに痛みや炎症を取ると血液の循環が低下し、修復が遅れたり悪化したりするのです。
湿布に対してカイロは、患部を温めて血液循環を高め、修復を促してくれます。その結果、早く治癒して痛みも改善するというわけです。
やり方は股関節の痛いところに貼るだけ!
やり方は簡単で、基本的に痛みのある場所にカイロを貼って温めるだけでよく、ひざ痛や腰痛、肩こり、捻挫などさまざまな痛みに有効です。もちろん股関節痛の患者さんにも股関節にカイロを貼る「股関節カイロ」をすすめ、高い効果を得ています。
股関節カイロのやり方
カイロはどのようなタイプでもOK。
自分が痛みを感じているところに服の上から貼るだけ。
痛みを感じているところが、最も血液循環のほしいところなので、
より作用が高まると考えられます。
カイロは基本的に眠るとき以外、常に貼っていてください。ただし、皮膚が赤くなっているときは低温やけどが心配なので、貼るのをしばらく休みます。また、痛みのある場所に傷ややけどがある場合は治ってからにしてください。
※カイロの外袋にある使用方法や注意事項を確認のうえ、ご使用ください。
なお、カイロを貼ると、一時的に痛みが増す場合がありますが、これは修復作業が進んだことによるものなので、一時的であれば少し我慢して続けてください。強い痛みが続く場合は、中断して医師に相談するといいでしょう。
股関節痛の患者さんからも大評判(体験談)
実際に股関節カイロを行って、痛みが改善した患者さんはおおぜいいますので、その例を紹介しましょう。
宮野梓さん(仮名・70代後半)は、かかりつけの整形外科で変形性股関節症と診断されました。担当医からは「即手術が必要」といわれたそうです。しかし、手術は受けたくないと思い、私の医院を訪ねてきました。そのときの宮野さんは、杖を使っても娘さんの付き添いがなければ歩けない状態でした。
宮野さんは私の指導を受け、その日から湿布をいっさい止めて、昼間は欠かさず、カイロを貼って過ごしたといいます。すると、半年ほどたったころから宮野さんの股関節痛が軽くなり、ほとんど歩けなかった状態が、杖を使えば一人で歩けるようになるまで改善したのです。
そのほかにも、大沼秀子さん(仮名・65歳)は、股関節カイロを行って半年ほどで痛みがほぼなくなりました。そして、股関節カイロを開始してから数年後にレントゲンを撮ると、驚くことに軟骨が再生していました。このように股関節カイロは、大きな効果をもたらしています。
股関節カイロの効果を十分に得るには、次の生活習慣も大切です。具体的には、温かいものを飲食する、冷たい空気を入れないように「鼻呼吸」をする、「骨休め」をして疲れを取ることです。これらとともに、股関節カイロをぜひ試してみてください。
記事にあるセルフケアは安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。
写真/©カラダネ
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