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二日酔いだけじゃない【ウコンに期待できる効果】ひざ痛や認知症、ウツ、高血圧の予防にも

解説 ヒロ整形クリニック院長
勝野浩

ウコンというと「二日酔い予防」を思い浮かべる人が多いと思います。でも実際はそれだけではありません。

今注目のウコンの働きについて、ヒロ整形クリニック院長の勝野浩先生に解説していただきます。

世界で注目を集める健康ドリンク

ウコン(ターメリック)について知らない人でも、カレーの黄色い色素というとおわかりいただけると思います。

ウコンについては、世界じゅうで健康意識の高い人に人気になっており、イギリスやオーストラリアのカフェでは、ウコンの粉末を牛乳やココナッツミルクに溶いた「ターメリックラテ」が評判とのことです。

私はウコンの粉末を豆乳に溶いて飲む、「ウコン豆乳」をおすすめしたいのですが、その前にウコンに期待できる働きについて解説しましょう。

ウコンのクルクミンには鎮痛作用がある

整形外科医の私が特に注目しているのは、ウコンに含まれるクルクミンに鎮痛作用がある点です。これについては、さまざまな試験で実証されています。

国内でも、クルクミンの鎮痛作用を調べる試験が、国立病院機構京都医療センターの中川泰彰医師らによって行われています。試験は2011~2012年にかけて、40歳以上の変形性膝関節症の患者さん50人を対象に実施されました。

まず初めに、50人全員にプラセボ(偽の食品)を8週間とってもらい、VAS(視覚アナログスケール。どれくらい痛いかを0~100の数値で主観的に表す)で、ひざ痛の強さを答えてもらいました。

50人の中でプラセボで痛みが和らいだと特に感じた25人に、次の試験へと進んでもらいました。

次の段階では、吸収率を高めたクルクミン180mgを配合した食品を、プラセボと同様に8週間とってもらいました。そのうえで、ひざ痛の強さを前回の試験と同様に答えてもらったのです。

その結果、25人のVASの平均値が、プラセボに比べて有意に下がっていることがわかりました(下のグラフ参照)。また、鎮痛薬への依存性も低下していました。鎮痛薬を使わなくてもひざ痛が軽減していることも確認されたのです。

ウコン豆乳試験.jpg

ひざ痛の人のひざの可動域が広がった

海外の試験では、クルクミンの摂取で変形性膝関節症のひざ痛が改善したという結果が出ています。さらに、ひざの可動域(動く範囲)も拡大していました。

2014年に関節学の専門誌で発表されたベルギーの試験を紹介しましょう。

この試験は、ベルギーの家庭医110人が、ふだんから診療している変形性膝関節症の患者さんにクルクミンのサプリメントをとってもらうという形で進められました。変形性膝関節症の820人を対象にして、クルクミンを高濃度で含有したサプリメントを6ヵ月以上摂取した場合のQOL(生活の質)の変化を調べたのです。

その結果、820人全体の平均として、痛みの軽減とQOLの向上、可動域の拡大が有意に見られました。さらに、報告では、患者さんの約半数が鎮痛薬を手放せるようになったといいます。

このように、クルクミンがひざ痛に効くのは、TNF-αという炎症の原因となるサイトカイン(体内で分泌される生理活性物質)の働きを抑える、抗炎症作用があるためと考えられています。これは、鎮痛薬に応用される作用に近いものとされています。

認知症やウツ、高血圧の予防にも

またクルクミンには、脳にもいい作用があることもわかっています。

クルクミンには、アルツハイマー病の原因物質とされる「アミロイドβ(ベータ)」というたんぱく質の発生を防止する作用と、発生しても分解する作用のあることが、金沢大学大学院の山田正仁教授らによって実証されているのです。

そのほか、ウコンには肝機能の向上や、胃弱・高血圧・糖尿病・ウツの抑制などさまざまな働きが期待できるそうです。

ただしウコンは薬ではありません。あくまで食品なので、不調がある方は病院に行ったうえで、食生活に取り入れてみてください。

なお、ウコンのオススメのとり方、ウコン豆乳については次の記事以降でくわしく解説していきます。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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