カラダネ(わかさ出版)
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スイカの皮が冷え症対策におすすめの理由を専門医が解説。おいしく食べられる酢漬けレシピも紹介
真夏でも悩む人が多い冷え症。
横浜血管クリニック院長の林 忍先生は、冷え症の改善におすすめの食べ物は「スイカの皮」だと話します。一体なぜでしょうか。
料理家の飯嶋知晴先生にスイカの皮をおいしく食べる方法もご紹介いただきます。
目次
シトルリンは血流をよくして体温を上げるNOの産生を促す
一般に、スイカを食べると体が冷えると考えられています。そのため、スイカの皮が冷え症の改善に役立つというと、多くの人は驚くようです。
スイカの皮の部分には「シトルリン」という成分が多く含まれています。シトルリンは、血流をアップさせて体温を上昇させる働きが強いため、冷え症の改善が大いに期待できるのです。
冷え症の改善には、入浴や適度な運動とともに、東洋医学において体を温めるとされる「陽性」の食べ物がおすすめです。具体的には、ショウガ、ネギ、ニンニク、ゴボウなどの根菜類や、ゴマ、黒豆、アズキなどです。そして体を冷やす「陰性」の食べ物(トマト、キュウリなど暑い土地でとれる野菜や、砂糖・合成甘味料など)は控えます。
大別するとスイカは体の熱を取る陰性の食べ物ですが、赤い実の部分を大量に食べなければ、体が冷える心配はないといっていいでしょう。
今では、スイカの皮を食べる人は、あまりいないかもしれません。しかし、昔は漬物や炒(いた)め物によく使われていたので、食べたことがある人も多いのではないでしょうか。
スイカの皮に多く含まれているシトルリンは、自然界の動植物に広く含まれているアミノ酸の一種です。人間の体内でも、血液中・筋肉・臓器などあらゆる組織に分布しています。スイカ以外では、ゴーヤー、トウガン、キュウリなど、ウリ科の植物に比較的多く含まれています。
シトルリンを発見したのは、日本人の研究者です。戦前の1930年に、スイカの果汁から分離したのが最初でした。そのシトルリンに、体内の一酸化窒素(NO)の産生を促す働きがあるとわかり注目されているのです。
NOは、血管の内皮細胞(血管の内壁を覆う細胞)で作られ、血管内に放出されています。NOには、血管を構成する筋組織などの緊張を和らげて、血管を広げる働きがあります。
そしてシトルリンは、このNOの産生を促すのです。シトルリンの働きによってNOが増えれば、血管壁が柔らかくなり、硬くなった血管も広がるため、血流がよくなります。その結果、体温が上昇し、冷え症の改善が期待できるというわけです。
ところで、狭心症の発作を起こしたときにニトログリセリンを服用すると、胸痛が和らぎます。この事実は、19世紀末ごろから知られていました。しかし、なぜそうした効果が得られるのかは、長い間謎だったのです。
そのしくみが明らかにされたのは、20世紀末のこと。アメリカの学者、ルイス・J・イグナロ氏が、ニトログリセリンを摂取すると体内でNOに変化することを発見したのです。イグナロ氏は、この発見を含めたNOに関する研究で、ノーベル生理学・医学賞を受賞しています。それほど、NOの働きは重要なものなのです。
NOはスイカの皮の白い部分に最も多い
シトルリンは体内でも作られますが、加齢によって生成量が減るので、食事などでシトルリンを補うことが望ましいでしょう。シトルリンはスイカの赤い果肉にも含まれていますが、皮と果肉の間の白い部分(果皮部)に最も多く含まれています。
以前、私が出演したテレビ番組で、冷え症に悩む40〜50代の女性5人にスイカの皮を食べてもらうという検証を行ったことがあります。すると、約30分後に全員の手足の表面温度が上昇したのです。
この結果には、私も驚きました。実際、私の患者さんの中にも、スイカの皮を食べたら冷え症が改善したという人がいます。そのほか、シトルリンをとってNOが増えれば、むくみや、足に冷えがあってこむら返りが起きたり、痛みがあったりする人の症状緩和も期待できるでしょう。
このように、シトルリンは血管を若々しく保つ、とても有益な成分です。しかも、今までは捨ててしまっていたスイカの皮を活用できるので、経済的でもあります。
この夏は、シトルリンが豊富なスイカの皮を、冷え症の改善に役立ててはいかがでしょうか。
スイカの皮をおいしく食べるには酢漬けがおすすめ
解説:アプリールクッキングスタジオ主宰 飯嶋知晴
こんにちは。料理家の飯嶋知晴です。
スイカの皮は冷え症改善に効果が期待できるといわれていますが、そのままではどうしても食べづらいですよね。
そこで、スイカの皮の酢漬けにチャレンジしてみてください。驚くほどおいしく食べることができるはずです。
酢はそのまま使っても大丈夫ですが、砂糖と塩を加えればぐんとおいしくなります。その場合、カップ1杯(200ミリリットル)の酢に対し、砂糖大さじ2杯、塩小さじ1杯を目安にしてください。
また、リンゴ酢やバルサミコ酢など、いろいろな酢を使えば味に変化をつけることができます。
スイカの酢漬けのくわしい作り方はこちらの画像をご覧ください。
スイカの皮の酢漬けは、ピクルスとしてそのままおいしく食べることができますが、料理に使えば食べ方のバリエーションが広がります。
冷蔵庫に入れておけば1ヵ月ほど保存することができます。ただし、酢に漬けておく時間が長くなればそれだけ酸味も強くなるため、こまめに味をチェックして、酸っぱくなりすぎる前に食べ切るといいでしょう。ぜひお試しください。
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この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。
写真/©カラダネ
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