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ジャバラって知ってる?花粉症のアレルギーを抑える有効成分が豊富な幻の果実
本記事は『わかさ2020年4月号』より抜粋しています。
実際にジャバラを試した人の体験談を読みたい人は、『わかさ2020年4月号』をご覧ください。
本文記事解説:大阪薬科大学名誉教授 馬場きみ江先生
本文記事グラフデータ(※1)出典:大阪薬科大学生薬科研究室
本文記事グラフデータ(※2)出典:湊口ら:臨床免疫・アレルギー科、50(3)、306-364(2008)
幻の果実、ジャバラとは?
スギやヒノキの花粉が飛散するこの時季、鼻水やくしゃみ、目のかゆみなど、花粉症の不快症状を訴える人が急増します。昨年までは無縁だったのに、唐突に発症することも少なくありません。2020年は暖冬傾向にあり、花粉の飛散量は非常に多いと言われています。
そんな花粉症の人にとっての朗報が、昨年からテレビやインターネットなどで大きな反響を呼んでいる「ジャバラ(じゃばら)(蛇腹)(邪払)」という柑橘系の果実です。
ジャバラとは、和歌山県の飛び地である北山村を中心に栽培されている果実。この山村を中心とする限られた地域にしか自生していなかったことから、「幻の果実」とも呼ばれています。
ジャバラが、なぜ花粉症の改善に効果を発揮するのでしょうか。その効果の源となるのが、ジャバラの果皮と果汁に豊富に含まれる「ナリルチン」です。
ジャバラに含まれるナリルチンって?
ナリルチンはフラボノイド(植物の色素成分)の一種で、ミカンやスダチなど他の柑橘類にも含有されています。そして、ジャバラ1個には、温州ミカン21個分ものナリルチンが含まれていることがわかっています。下のグラフ(※1)を参照ください。
では、ナリルチンは、どのようにして花粉症の症状を改善するのでしょう。
花粉や細菌などの異物(抗原という)が体内に侵入すると、私たちの体はそれを排除しようとして、「免疫」という仕組みが働きます。ところが、この免疫がなんらかの原因で過剰に働くと、体に悪影響を及ぼし、アレルギー性疾患を引き起こします。
アレルギーの原因となる花粉が体内に侵入すると、免疫グロブリンE(IgE)という抗体が作られ、目や鼻などの粘膜にあるマスト細胞(肥満細胞)に結合します。
その状態で新たな花粉が体内に入ると、IgEが結びついたマスト細胞からヒスタミンやロイコトリエンなど、アレルギー症状をもたらす炎症物質が放出されます。
専門的には「脱顆粒現象(だつかりゅうげんしょう)」といわれるもので、その結果、鼻水や目のかゆみ、くしゃみといった花粉症特有の症状を引き起こしてしまうのです。
この脱顆粒現象によって放出されたヒスタミンの働きを抑えるために用いられるのが、抗ヒスタミン薬です。しかし抗ヒスタミン薬は、他の炎症物質の働きを抑えることができないため、すべての症状を緩和するには至りません。
これに対し、ジャバラに含まれるナリルチンは、体内に吸収されると、脱顆粒現象を抑える以外にさまざまな炎症物質の産生を抑えることがわかっています。ジャバラをとれば、ヒスタミンをはじめとするさまざまな炎症物質の放出を妨げ、花粉症の症状全般の改善が期待できるのです。
ジャバラの試験と期待できる効果
花粉症に対するジャバラの効果は、岐阜大学医学部が行った試験で確認されています。この試験では、花粉症を発症している男女15人に、ジャバラの果汁10ml(ナリルチンの含有量は約11mg)を毎日、2週間以上飲んでもらいました。
試験の結果、鼻水・くしゃみ・鼻づまり・鼻のかゆみ・目のかゆみ・涙目といった6つの主要な花粉症の症状が大幅に改善したことが判明しています。下のグラフ(※2)を参照ください。
グラフは数値が高いほど症状が重く、低いほど軽いことを示しています。花粉症の症状を5段階で評価したところ症状の緩和が見てとれます。
また、ジャバラの特徴として、抗ヒスタミン薬の服用時におこる眠気や体のだるさを起こさないことが挙げられます。車の運転や仕事、勉強など、集中力を必要とするときにはいいでしょう。また、症状の改善が体感できる人には、その効果が比較的早く発揮されることも、特徴の一つと考えられます。
さらに、ダニやカビ、ハウスダストのほか、基礎研究の段階ではありますが、呼吸器への影響が指摘されるPM2.5や黄砂による炎症反応の改善も期待されています。花粉症などアレルギー性疾患に悩む人は、ぜひ試してみてはいかがでしょう。
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