【専門医解説】MCTオイルとは?中鎖脂肪酸って何?なぜやせる?今話題のMCTオイルダイエット|カラダネ

カラダネ(わかさ出版)
医師や専門家とあなたをつなぐ、
健康・食・くらしのセルフケアが見つかる情報サイト

【専門医解説】MCTオイルとは?中鎖脂肪酸って何?なぜやせる?今話題のMCTオイルダイエット

解説 日本東洋医学会専門医
畠山昌樹

雑誌やテレビで、話題になるダイエット食品「MCT(エムシーティー)オイル」。

オイルということは油なのでしょうか?
油なので、とったらますます太るのではという疑問を持つ人もいらっしゃるでしょう。
ご安心ください。MCTオイルはやせたい人にぜひオススメしたい、不思議な油です。

ダイエットで最も難しいと言われる「継続」がしやすい、無味無臭なことが特徴のオイル。

MCTオイルが人気になったのは、テレビ番組で、アイドル志望の太った女の子が食事で取り入れ、見事にやせたのがきっかけ。
いったい、この油の正体は?なぜやせる?オススメのとり方は?MCTオイルにくわしい医師の畠山昌樹先生に話を聞きました。

MCTオイルについては、ぜひ下記の記事もご覧ください。


専門医の私も18キロ減!MCTオイルダイエットで見事にやせる3日間プログラム
【動画つき】MCTオイルを味噌汁やサラダに!アイスにも!MCTオイルの活用法を解説



MCTとは中鎖脂肪酸のこと。中鎖脂肪酸とはいったい何か?

MCTオイルのMCTとは、中鎖脂肪酸:Medium Chain Triglycerideの頭文字です(中鎖脂肪酸については、後述します)。

MCTオイルはダイエットに好適な油として、今、医療や美容の分野で注目を浴びています。
最近では、米国シリコンバレーのIT起業家がMCTオイルダイエットを実践し成功したことで、「シリコンバレー式ダイエット」と呼ばれて、世界的な話題になりました。

早速、中鎖脂肪酸について解説しましょう。
油は脂肪酸という物質で構成されています。脂肪酸は、炭素が連結する長さによって、長鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸などの種類に分けられます。

家庭料理でよく使われるサラダ油やオリーブ油などの植物油は、主に長鎖脂肪酸でできています。
長鎖脂肪酸は、静脈やリンパ管を通って肝臓や筋肉・脂肪組織などに運ばれ、いったん貯蔵されます。そして、肝臓内のグリコーゲンが不足してきた時点で分解され、ゆっくりエネルギーとして消費されます。

つまり、長鎖脂肪酸は必要に応じて消費されるため、体に脂肪としてたまるやすく太りやすい脂肪酸といえるのです。

一方の中鎖脂肪酸は、ココナツやパームヤシ・牛乳・母乳などに多く含まれています。MCTオイルは、天然の中鎖脂肪酸100%でできている油です。

中鎖脂肪酸は、長鎖脂肪酸に比べて、炭素どうしの結合がおよそ半分の長さしかなく、水になじみやすい性質があります。
しかも、長鎖脂肪酸のように回り道をすることなく肝臓へ直接運ばれます。そのぶん、中鎖脂肪酸は消化吸収に優れ、長鎖脂肪酸より5倍も速く分解されます。
s_中鎖脂肪酸の図.jpg
つまり、中鎖脂肪酸はとれば素早くエネルギーとして使われるため、体脂肪としてたまりにくいという特徴があります。

また、中鎖脂肪酸には体にたまっている脂肪を分解する働きもあるとされています。
中鎖脂肪酸が分解されることで、体全体が脂肪代謝のサイクルに入ります。これにより、過剰な食欲が起こるのを防ぐこともできるのです。
s_Fotolia_84792891_Subscription_Monthly_M.jpg

MCTオイルが体内にケトン体を作り出し、やせやすくする

さらに、中鎖脂肪酸をとりつづけると体内でケトン体が作られ、それがやせやすい体質へと導いてくれます。ケトン体について、できるだけ簡単に説明しましょう。

私たちは普段、米や麦・砂糖などに多く含まれる糖質から作られるブドウ糖を主なエネルギー源として活動しています。
ところが、私たちの体には、ブドウ糖とは別のエネルギー源を作り出すしくみも備わっています。

そのエネルギー源こそが、ケトン体です。

ケトン体とは、アセトン・アセト酪酸・ヒドロキシ酪酸という三つの物質の総称。
私たちの体は、一番のエネルギー源であるブドウ糖が不足して枯渇状態になると、体内の脂肪を分解してケトン体を生成し、主力エネルギー源として自動的に利用します。

ところが、中鎖脂肪酸は体にブドウ糖が十分に存在するときでも、ケトン体を作り出す性質を持っています。
しかも、中鎖脂肪酸は一般的な植物油の主成分である長鎖脂肪酸に比べて、約10倍もケトン体を効率よく作り出せるのです。

つまり中鎖脂肪酸100%のMCTオイルをとれば、ケトン体がエネルギー源として使用されます。
そして糖質を制限する食事法と組み合わせることで効率よく脂肪が分解され、さらにケトン体が増えるのです。

すると、体の疲れや空腹感を感じにくくなり、間食やドカ食いといった肥満を招く悪習慣を断ち切るきっかけになるはずです。

ケトン体が主力エネルギーになることを、私は「ケトン体質」と呼んでいます。
ケトン体質が定着し、体内の脂肪を燃焼してエネルギーに変換するようになれば、効率よくやせることができます。

しかも、ケトン体には満腹中枢を刺激して食欲を抑える働きがあるので、空腹感も感じにくくなるのです。
s_Fotolia_107052902_Subscription_Monthly_M.jpg例えば、冬眠中のクマが春までエサを食べなくても空腹を感じないで眠っていられるのは、まさに体内の脂肪をエネルギーに変換するケトン体質のおかげなのです。

MCTオイルの摂取量は体調を見ながら加減するのが大事

MCTオイルダイエットを始めるには、穀物や菓子類を減らす「糖質制限」を同時に行うとさらにいいです。

さらに、魚や肉などたんぱく質の多い食品のとりすぎもさけましょう。

糖質制限をすると、体内のブドウ糖が減り、ケトン体の血中濃度がわずかに上がります。
このとき、たんぱく質を多くとってしまうと、ケトン体が主力エネルギーになる前に、ブドウ糖に代わるエネルギー源としてアミノ酸(たんぱく質の構成成分)が使われてしまうからです。 

MCTダイエットの基本的なやり方については、
専門医の私も18キロ減!MCTオイルダイエットで見事にやせる3日間プログラム
で紹介します。

MCTオイルの安全性は確認されていますが、人によってはおなかが緩くなることもあるので、体調を見ながら摂取量を加減してください。MCTオイルダイエットは私自身も試して、5カ月で18キロもやせました。糖質制限のつらさは全く感じたことがなく、毎日がすこぶる快調です。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

出典:『わかさ』7月号(詳細はわかさ出版ホームページにて)

電子書籍をご希望の方はAmazonでKindle版がご購入できます

WS07HY1Big-430x553.jpgメインの特集は、医師が考案した腕もみ健康法。腕をもむだけで実にさまざまな病気が改善すると話題です。
今話題の酢トマトや、MCTオイルダイエットのやり方、注目の海藻「アカモク」の作用についても解説されています。
ぜひ、ご覧ください!

この記事が気に入ったらいいね!しよう